「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023」はレギュラーシーズンを終えた。今後はディビジョン1上位4チームによるプレーオフに加え、各ディビジョン入れ替え戦がスタート。ディビジョン1のコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)はトップリーグ時代を含めても過去最低の9位に終わった。28日、シーズン総括会見を行った。

 

 オンラインの画面越しからも現地の重苦しい空気は届いた。ニコラス・ホルテンHC、キャプテンの橋本皓、福本正幸チームディレクター(TD)が出席した兵庫・灘市のクラブハウスで行われた総括会見。リーグ戦4連敗で終え、5勝11敗と大きく負け越した。入れ替え戦こそ回避したものの、勝ち点25は10位・三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)とは5点差だった。

 

 日本選手権最多10度の優勝を誇る名門からすれば忸怩たる思いだろう。タイトルからは2018-19シーズンのトップリーグ以来、遠ざかっている。19-20シーズンは中止、トップリーグラストイヤー(20-21シーズン)はプレーオフトーナメント準々決勝で敗れた(5位)。リーグワン初年度は7位。巻き返しを狙った今季も振るわなかった。「すべての責任は自分にある」とは、今季から指揮官に就いたニコラス・ホルテンHCだ。ACから昇格した指揮官の下、例年より3カ月より早く指導したものの、チーム上方修正することはできなかった。

 

 PR具智元、SO李承信、FB山中亮平らジャパン経験者が多数在籍しているチーム。今季は南アフリカ代表31キャップのNo.8マルセル・クッツェー、ニュージーランド代表15キャップのCTBナニ・ラウマペ、相模原DBの昇格に貢献したCTBマイケル・リトルらが加入したが、結果は出なかった。18-19シーズンを知るホルテンHCは、「ラグビーに関してディフェンスに割く時間が長かった。アタックの時間を増やして逃げ切ることができなかった。ここ2シーズンディフェンスがうまくいっていない。悪い傾向のままだった」と振り返る。

 

 また、この日9人の選手、7人のスタッフの退団が発表された。元キャプテンのFL前川鐘平、HO有田隆平ら4季前の優勝を知るメンバー、そしてクッツェーも去る。来季はニュージーランド代表のLOブロディー・レタリック、FL/No.8アーディ―・サヴェアの加入が内定しているが、更なる選手の入れ替えが予想される。福本TDは「過去の方を向いて前進は難しい。これから来季に向けて新しいこと。戦える戦略、戦術、ラグビーに対する考え方を定めていかなければいけません」と語った。ホルテンHCは退任濃厚で、新HCには前オーストラリア代表HCのデイブ・レニー氏の就任も噂される。「来シーズンの新体制はまだ言えない」と福本TD。名門復活はなるか。起爆剤も必要だが、一方で簡単には崩れないような地盤を固めることも大事だろう。

 

(文/杉浦泰介)