「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023」のディビジョン1プレーオフトーナメント準決勝で対戦する東京サントリーサンゴリアス(東京SG)とクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S船橋・東京ベイ)が12日、出場登録メンバー23人を発表した。東京SGはPR垣永真之介、No.8テビタ・タタフがケガで入らなかったものの、共同主将のHO堀越康介とSH齋藤直人、今季トライ王のWTB尾﨑晟也がスタメン。ケガで今季出場のなかったCTBサム・ケレビがリザーブに入った。S船橋・東京ベイはキャプテンのCTB立川理道に加え、レギュラーシーズン得点王のSOバーナード・フォーリー、ベストラインブレイカー賞のWTB木田晴斗がスタメンに名を連ねた。

 

 レギュラーシーズンはS船橋・東京ベイの2勝0敗。順位はS船橋・東京ベイが2位、東京SGが3位だ。過去2戦スタメン出場の齋藤は「ネガティブなイメージは全く思っていない。前回の試合、隠すことなく、互いのスタイルを出し合った。手の内はわかっている。そこはイーブンだと思う」と不安はない。相手の手の内とは、強力なFW陣を存分にに生かしたシンプルに縦を突くアタック。そしてセットプレーだろう。

 

「ビッグパックをどう効果的に後退させるか。キックに偏るだけでなく自分たち強みを織り交ぜながら、アタックのオプションとエリアを取るオプションは9番として考えながらやっていきたい」と齋藤。田中澄憲監督も「クボタの一番の強みはフィジカル。一度モメンタム(勢い)を作り出されると止めるのは難しい。フィジカルのところは避けて通れない。我々はデカイパックではないので、低く速くがキーポイントになる」と語った。フィジカル勝負、FWバトルでは不利が予想されるものの、相手の侵入を易々と許しては、トップリーグを含めた3季連続の決勝進出は見えてこない。

 

 3週間前の対戦では、東京SGが一度逆転しながら再逆転して敗れた。特に痛かったのは相手がシンビンで2人を欠いたタイミングで1トライ1ゴールを奪われたことだ。「まず追いかける状況が前回は良くなかった。逆転されたのも相手が13人になった時、対応できていてたら違った結果になっていたかもしれない。そこは反省すべき点。プレーオフの準備としてはあらゆる想定にどう対応していくか。全く心配していないです」と田中監督。試合の入り、シンビンやケガなどで起こり得る不測の事態といった際の試合運びが重要となる。

 

 

 相手のセットプレーを止めるキーマンは、ラインアウトがLOハリー・ホッキングス、スクラムがリーグワン初スタメンのPR細木康太郎というスペシャリストとなるだろう。S船橋・東京ベイのLOルアン・ボタらとの空中戦、HOマルコム・マークスなどとの地上戦を制し、試合を優位に進めたい。S船橋・東京ベイはLOデーヴィッド・ブルブリング、FLピーター・ラブスカフニがメンバーに入らなかったが、立川は「誰が出ても、ウチのFWは強力。シーズン通してスクラム、ラインアウト、モールとフィジカルの部分で戦ってくれた」と自信を窺わせた。

 

 いずれにしてもフィジカルバトルで押し負けるようなことがあれば、反則がかさむ恐れもある。そうなるとS船橋・東京ベイのフォーリー、東京SGのSOアーロン・クルーデンというプレースキッカーの精度が勝敗を分けることとなりそうだ。

 

(文・写真/杉浦泰介)