24日、日本ラグビーフットボール協会は国内合宿参加メンバー46人(日本代表36人と同候補10人)を発表した。2019年W杯日本大会の最終スコッドからはFLリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)ら14人が代表に選出された。またWTB木田晴斗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、CTB長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)が初選出となった。

 

 ジェイミー・ジョセフHCは協会を通じて、「いかなるプレッシャーの中でも一貫したプレーができる選手ということでこのメンバーを選考しました」とコメントを寄せた。その意味ではリーグワンでベストフィフティーンに輝いた木田、長田の選出に異論はないだろう。

 

 今季、リーグワンのレギュラーシーズンで木田が14試合16トライ、長田は12試合8トライ。当たり負けない強さと突破力を有し、高い決定力を誇る木田と、CTBとWTBをこなし、総合力の高い長田の存在はジャパンの新戦力として期待される。いずれもベストフィフティーンに輝き、木田がベストラインブレイカーと、長田が新人賞との個人2冠を獲得した。プレーオフファイナルで両者は対戦。それぞれ1トライずつ挙げた。日本協会の藤井雄一郎ナショナルチームディレクター(NTD)も「レベルが上がれば上がるほどいいパフォーマンスをしていた」と高く評価した。

 

 木田と長田はそれぞれオンライン取材に対応し、喜びの声を語った。木田は「メンバー争いに絡むことが目標だったのでうれしい。ただスタート地点。ここからが勝負だと思っている」と、長田は「代表に入ることを目標にしてきたのでうれしい。やるしかない、頑張らないといけない」と率直な想いを述べた。

 

 1999年生まれの2人は、異なる道を歩んできた。東海大附属大阪仰星高校・早稲田大学で日本一を経験し、チャンピオンチームの埼玉WKに入った長田に対し、木田はいわゆるエリート街道ではない。関西大倉高(大阪)時代に花園出場経験はなく、立命館大学での全国大学選手権出場は1年時のみ。それも初戦敗退(3回戦)に終わっている。

 

 対照的な歩みに加え、今季の新人賞を争ったこともあり、比べられることも少なくないが、当人たちは互いにライバル意識はない。

「道は違くともやってきたことは一緒」(木田)

「僕は僕、彼は彼。ポジションも違う」(長田)

 

 ジャパン初選出の2人は、他の44人と共に6月12日からスタートする浦安合宿に臨む。藤井NTDによれば、合宿終了後に約36人に絞られるという。リーグワンで優勝争いをしていたチームで出場機会を勝ち取った2人だが、休息の時間は短い。桜のジャージーを纏うためのサバイバルはすぐに始まる。

 

(文・写真/杉浦泰介)