27日、「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」(リーグワン)ディビジョン1のリコーブラックラムズ東京(BR東京)が2022-23シーズン報告会を東京・二子玉川ライズ ガレリアで開催した。東急田園都市線と大井町線の二子玉川駅に直結する複合型商業施設の広場には、特設会場が設けられた。チームのオフィシャルパートナー契約を結ぶ二子玉川ライズ。シーズン報告会は昨季に続き2回目で、リーグワンがスタートしてから壮行会やイベントなどを実施している。

 

 今季リーグ戦は6勝10敗で7位。昨季と比べて勝ち数(4→6)、順位(9→7)を上げた。公開記者会見に登壇した。リーダーグループの1人、SH山本昌太はこう述べた。

「順位としては決して満足のいく結果ではありませんでしたが、いいところも悪いところもあった。確実に前に進んでいると実感が得られるシーズンだった」

 

 今季のリーグワンはクボタスピアーズ船橋・東京ベイの優勝で幕を閉じたが、BR東京はレギュラーシーズンで対戦した際に38―40と勝利まであと一歩だった。FBメイン平はこの試合を印象に残った試合に挙げ、「自分たちのDNAである泥臭い部分を体現できた。トップ4相手にも戦える力があると肌で感じられる試合でした」と手応えを口にする。

 

 敗れた10敗の中に泥臭さ、粘り強さが発揮された。10敗中4敗は7点差以内。残りの6敗中半分は13点以内だ。「まだまだチームとして未熟ですが、トップ4に向けて、全く手の届かないところにはいないと感じられた。そこは来シーズン、必ず届くようにやっていきたい」と山本が意気込むと、西辻勤GMは「選手たちがトップ4とやって、“自分たちもなれる”と自信をつけたシーズン。次こそはやってくれる」と期待を寄せた。

 

 チームのDNAである泥臭さは運営スタッフも体現する。「お金をかけていろいろなプロモーションをかければ、いろいろなことができるかもしれませんが、それではチームとしてサスティナブルじゃない。もっと地域密着。近い距離で、接点をたくさんつくるのがブラックラムズの良さだと思っています。接点をつくることにこだわっていきたい」。現職に就いて3季目となる西辻GMは「もっと距離が近くならないとスタジアムまで足を運んでもらえない。活動拠点である砧のグラウンドをもっと人が集まる場所にしていきたい」と語った。そのために「革靴の踵をすり減らすのが僕らの仕事」と足を使って、地道に活動することを誓った。

 

 BR東京の魅力のひとつは“ファミリー感”。シーズン中、このことを強調していたのが、山本だ。

「チームの選手、スタッフだけではなくファンの皆様を含めてファミリーと言っています。ホストゲーム最終節のトヨタ(ヴェルブリッツ)さんとの試合に1万人以上の方々が足を運んでくださった。あの日はキックオフの時間が遅れたり中断になったりするアクシデントがあり、観ている人たちも大変な試合だった。それでもたくさんのファンの方が会場に残ってくれ、自分たちを最後まで見届けてくれたのを見た時にすごくうれしかった。“これがブラックラムズファミリー”だと感じた瞬間でした」

 

 山本が言うトヨタV戦は、4月16日に東京・秩父宮ラグビー場で行われた第15節のことだ。「秩父宮真黒計画」と銘打ち、BR東京ホストゲーム最多の1万1060人を集めた。雷雨の影響で、当初のキックオフ時間から3時間半後にノーサイド。この日も二子玉川ライズに駆け付けた“ファミリー”たちに山本は「ありがとうございました」と頭を下げた。報告会の締めを任されたSH髙橋敏也は「選手一同、ブラックラムズファミリーの応援が日本で一番だと思っている。次のシーズン、結果で返していきたい」と選手たちを代表して想いを伝えた。

 

 来年はここで“ファミリー”に歓喜の報告を――。選手たちがその想いを強くしたイベントになったのではないだろうか。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

■関連記事はこちら

ブラックラムズ、ハドルの意味(2023年4月2日更新)

“ファミリー”で一丸 BR東京、10T大勝(2023年2月25日更新)