23日、ニューヨーク・ヤンキースの井川慶投手が、5月4日のマリナーズ戦以来、約1カ月半ぶりに先発マウンドに上がった。4回までサンフランシスコ・ジャイアンツ打線を無失点に抑えた井川だったが、5回に2点を失い、勝ち投手の権利を得られないまま、この回途中でマウンドを降りた。
▼桑田、メジャー初の連投で役割果たす
 初回を三者凡退に切ってとり、最高のスタートを切った井川。2回以降もランナーを出しながら要所を締め、安定したピッチングを見せた。
 打線も井川を援護する。2回裏に松井秀喜の犠飛で1点を先制すると、2死1、2塁の場面では井川自ら粘って四球を選び満塁のチャンスをつくる。次打者ジョニー・デーモンがタイムリーを放ち、3−0。
 さらに、5回表にもボビー・アブレイユとアレックス・ロドリゲスのタイムリーで2点を追加した。

 味方打線から5点のリードをもらった井川だったが、その裏、制球が乱れ始め、高めに甘く入るようになる。まずは先頭打者のケビン・フランドセンに2塁打を打たれると、次打者オマー・ビスケルに真ん中に甘く入ったストレートをレフト前に運ばれて1点を失う。

 さらに2死満塁の場面で、打席にはメジャー通算本塁打記録まで7本と迫っているバリー・ボンズ。観客が総立ちとなり、スタジアムは騒然となる。プレッシャーがかかる中、井川はフルカウントからストレートが高めに抜け、押し出しで2点目を失ってしまう。ここでジョー・トーリ監督は井川をマウンドから降ろした。

 井川は勝ち投手の権利を得るまであとアウト一つと迫りながら、無念の降板。4回3分の2、79球を投げて被安打5、3四球、5奪三振、2失点の成績に終わった。

 その後、8回に1点を奪われたものの、ヤンキースのリリーフ陣がリードを守り、試合は7−3でヤンキースの勝利。連敗を3でストップした。6番・レフトで先発した松井は第1打席に犠飛を放ったものの、快音は聞かれず。3打数無安打に終わっている。
 注目のボンズは8回に今季15号目となるソロHRを放ち、メジャー記録まで6本と迫った。しかし、ジャイアンツは8連敗を喫した。

 ヤンキース、連敗を3でストップ
ニューヨーク・ヤンキース     7 = 030021001
サンフランシスコ・ジャイアンツ  3 = 000020010
勝利投手 ビスカイーノ(4勝1敗)
敗戦投手 ケイン(2勝8敗)
セーブ   リベラ(2勝3敗9S)
本塁打  (ジ)ボンズ15号ソロ

<松坂、マダックスを破り9勝目>

 ボストン・レッドソックスの松坂大輔投手は23日、サンディエゴ・パドレスとの交流戦に先発登板した。松坂は立ち上がりに1点を失ったものの、その後は抑えて6回1失点。メジャー通算339勝右腕、グレグ・マダックスとの投げ合いを制し、9勝目(5敗)をあげた。試合は2−1でレッドソックスが3連勝をおさめた。 

 パドレスの本拠地、ペトコ・パーク。昨年3月のワールドベースボールクラシック(WBC)で日本が世界一に輝いた舞台だ。そのWBC決勝以来、松坂が思い出のマウンドに上がった。
 相手は「精密機械」との異名を持つグレグ・マダックス。抜群の制球力を武器にメジャー通算339勝をあげている。大投手との注目の対決は立ち上がり、松坂が崩れる。

 先頭のマーカス・ジャイルズにフルカウントから四球を与えると、2番のホセ・クルーズにもボールが先行。連続四球を出してしまう。さらにエイドリアン・ゴンザレスにもストライクが入らず、3球連続ボールから結局歩かせた。無死満塁。松坂は大ピンチを迎える。
 ストライクがほしいバッテリーは1死後、5番・マイケル・バレットへの初球が甘く入る。中に入ったスライダーをバレットがきれいに打ち返し、三塁走者がゆっくりと先制のホームを踏んだ。なおも満塁。ただ、1点を失って目が覚めたのか、松坂の投球は落ち着きを見せ始める。6番・グリーンにはカウント2−1と追い込み、最後は外角の速球で見逃し三振。次打者もライトフライに仕留めて、松坂は最小失点で初回を切り抜けた。

 2回以降、松坂はキレのあるストレートを軸に投球を展開する。これが効いた。パドレス打線はストレートに詰まらされ、三振を重ねていく。ヒットを飛ばされたのはカウントを取りに来た変化球。4、5回と得点圏に走者を背負った場面ではストレートで相手を抑え込んだ。

 すると、マダックスをうちあぐねていたレッドソックス打線にもようやく火がつく。4回、安打2本で1死1、2塁とチャンスをつくると、ケビン・ヨーキリスがセンター前へタイムリー。ジェーソン・バリテックも続いて、レッドソックスが2点を奪い、逆転に成功する。

 この日の松坂は、球数が100球を越えても球威は衰えない。6回も2死1、3塁と同点のピンチで1番M・ジャイルズに対してストレートで勝負する。150キロを計時した速球で空振り三振。結局、直後の攻撃で松坂は代打を送られ、6回126球を投げて5安打1失点。9三振を奪ってマウンドを降りた。

 逃げ切りたいレッドソックスは8回、セットアッパーの岡島を投入する。岡島はチェンジアップを巧みに使い、2個の三振をとるなど、難なく三者凡退に抑えた。これで7試合連続無失点。磐石の投球でチームの勝利に貢献した。

 初回こそ不安定な投球で心配されたが、ストレートで活路を見出した松坂。これで前回のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦に続いて僅差を守り、調子は上向いてきた。次回は28日(木)のシアトル・マリナーズ戦に先発予定だ。イチローとの今季3度目の対決が待っている。

 バリテック、逆転のタイムリー
ボストン・レッドソックス 2 = 000200000
サンディエゴ・パドレス 1 = 100000000
勝利投手 松坂(9勝5敗)
敗戦投手 マダックス(6勝4敗)
セーブ   パペルボン(0勝1敗17S)

<桑田、初の連投で打者2人を抑える>

 ピッツバーグ・パイレーツの桑田真澄投手が同日、ロサンゼルス・エンゼルス戦で2番手として登板した。6回、4−1とリードしながら1死1、2塁のピンチの場面で、先発のザック・デュークをリリーフ。迎えた7番のハウィ・ケンドリックをレフトフライに仕留めると、続くシェイ・ヒレンブランドから三振を奪って窮地を脱した。メジャー初の連投もきっちり仕事をした桑田だったが、後続が打たれ、チームは4−5で延長11回サヨナラ負け。痛い3連敗を喫した。
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