お久しぶりです。先日、セガサミー野球部は4年連続14回目の都市対抗野球出場を決めました。応援ありがとうございました! 目標としていた第1代表にはなれなかったものの、第4代表決定戦でタイブレークの末、昨年の都市対抗4強・NTT東日本を下し、なんとか切符を勝ち取ることができました。7月の本戦の舞台、東京ドームに日本一の応援団を連れて行けることをうれしく思います。

 

 連敗止めた“勝ち饅頭”

 私が監督に就任して以降は毎年都市対抗に出場できていますが、今年は紙一重の戦いでした。例年以上に社会人野球の怖さ、一勝の重みを感じたような気がします。会社や応援してくれる人の思いを背負って戦っているチーム。私が勝たせたという気持ちはありません。選手たちが“私を勝たせてくれた”と思っています。

 

 まずは6月6日、大田スタジアムで行われた第4代表決定戦を振り返りましょう。対戦相手のNTT東日本は前日の東京都第3代表決定戦に続く連戦となりましたが、私たちは中5日という状況でした。相手より休養を取れるという利点はありますが、試合勘を失うことが怖かった。そこで第4代表決定戦の2日前、ENEOSの大久保秀昭監督のご厚意で練習試合を組んでいただきました。大久保監督をはじめENEOSの関係者の皆さんには、大変感謝しています。

 

 試合は先発のエース草海光貴が4回1失点、2番手の舘和弥が2回1/3を1失点で繋ぎ、7回途中から登板した3番手の古屋敷匠眞が締めてくれた。3人でタレント揃いのNTT東日本打線を2点に抑えたことも大きかった。タイブレークには嫌な思い出もあったので、不安が全くないと言ったら嘘になりますすが、選手たちがよくやってくれました。

 

 勝敗を分けた延長10回の攻防です。先攻のセガサミーは先頭の代打・宮川和人のピッチャーゴロでタイブレーク(無死一、二塁)のランナーが進塁しました。続く9番・根岸晃太郎は三振に倒れましたが、2死二、三塁。植田匡哉への初球が暴投となり、1点を勝ち越しました。植田は四球を選び、2死一、三塁。ここから砂川哲平、高島大輝、黒川貴章の3連打で3点を追加しました。

 

 この4点が大きかった。古屋敷が先頭打者にヒットを浴び、無死満塁。続く打者のレフト前にフラッと上がった打球をショート中川智裕が追いかけ、一度はジャックルしかけたものの、粘ってキャッチ。ランナーも一瞬落としたという判断でホームに向かいかけました。中川はすぐさま三塁へ送球したのも良かった。ダブルプレーで2死一、二塁と状況は変わり、我々の勝利がグッと近づいたのは言うまでもありません。再度満塁となったものの、古屋敷が最後のバッターを浅いセンターフライに打ち取って、試合終了。その瞬間、選手もコーチも涙を流して喜んでいました。それだけ追い込まれていたということでしょう。私もその姿を見て、ジーンとくるものがありました。

 

 第1代表の準決勝(明治安田生命)、第2代表の3回戦(東京ガス)で連敗し、セガサミーの本戦出場可能性は第4代表しかなくなっていました。気持ちの切り替えが難しいところではありましたが、「心が変われば体も動く」と選手たちに常々言っていたので、自信を持って戦ってくれたと思います。実は佐藤俊和ヘッドコーチが連敗後、目黒まで“勝ち饅頭”を買いに行きました。彼からすれば“やれることはやっておきたい”という心情でしょう。私はゲンを担ぐほうではありませんが、“勝ち饅頭”から2連勝。私は選手、コーチ陣を信じていましたから、それを含め“信じる力”がもたらした勝利だったと言えるかもしれませんね。

 

 東京都予選、投打のMVP

 今回の東京都予選を振り返ると、打撃戦の多かった東京都予選において、1試合4失点以内に抑えた投手陣の粘りを評価したいと思います。昨年の先発陣の軸となった草海と舘に、今年は飯田大翔が加わりました。好リリーフを見せた古屋敷のほか、横田哲、石垣永悟らに、広島カープから入った田中法彦もいい仕事をしました。左ピッチャーは少ないですが、タイプの違う右ピッチャーが揃ってきた印象です。

 

 予選のMVPを挙げるとすれば、打は高島、投は古屋敷ですね。拓殖大学から今年加わった新人の高島は全5試合に出場。主に2番を打ち、19打数10安打で5割2分6厘の高打率をマークしました。打点もチーム最多の7打点を挙げました。足が速く、コンタクト率の高いバッターですが、勝負強さも見せてくれました。第4代表決定戦では、先述したタイブレークでのタイムリーに加え、8回表に同点タイムリーを放ちました。

 

 在学時の拓大は東都大学2部リーグ所属でしたが、高島は今秋のドラフト候補である東洋大学の細野晴希投手、専修大学の西舘昂汰投手といったハイレベルなピッチャーと対戦し、昨秋のベストナイン(外野手)に輝いた実績があります。東京都予選では期待通りの活躍を見せてくれました。

 

 一方の古屋敷は明治安田生命(第1代表決定戦)、JPアセット証券(第4代表、NTT東日本の3試合にリリーフで起用しました。計8回1/3を投げて自責点ゼロと安定した成績を残しました。私の法政大学の後輩にあたるわけですが、大学時代からコントロールが不安定なところが課題でした。2年目の今季、昨年末に右手首を手術をしたことが功を奏したのではないかと私は見ています。コントロール、変化球の精度が上がったように感じます。

 

 古屋敷の投げる体力はチーム随一。先発で長いイニングを投げることもできれば、連投もきく。プロ向きの選手だと思いますよ。バッテリーを組むキャッチャーの須田凌平が彼の良さを引き出した部分もあるでしょう。須田からも「監督、古屋敷は一番ノッていますよ」と報告を受けていました。明治安田生命戦では1死満塁のピンチで登板。相手のクリーンアップに150km超のボールを連発し、連続三振に切って取ったことで自信を持ったような気がします。こういった成功体験の積み重ねが彼の成長に繋がっています。

 

 プロ野球に目を移せば、新井貴浩監督率いるカープはAクラス(6月12日時点)に食い込み、頑張っていますね。交流戦は団子状態。カープも優勝を狙える位置にいます。さてセガサミーの勝負は7月。東京ドームで応援団が奏でるメロディーに乗り、私の古巣カープと共に日本一を目指したいと思います!

 

<来月は通常通り、1日更新予定です>


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