東海大男子、「V7」カギ握るキーマンを直撃! ~全日本学生柔道優勝大会~

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 大学団体日本一を決める「全日本学生柔道優勝大会」(全日本学生優勝大会)は6月24日、東京・日本武道館で開幕した。25日には大会2日目を迎え、男子の優勝が決まる。優勝候補の本命は、大会記録に並ぶ7連覇を目指す東海大学だ。優勝回数は単独トップの26回。V7のキーマンは100kg級の2人、主将の鈴木直登(4年)とルーキーの新井道大である。

 

――最上級生の鈴木選手としては最後の全日本学生優勝大会が近付いてきています。

鈴木直登: 初出場した一昨年からこの大会で“勝ちたい”という気持ちは変わらずありますが、4年生になると、これまで以上に、その思いは強くなりますね。それに東海大は絶対勝たなければいけない存在。主将として緊張感を持ち、日々の稽古に励んでいます。

 

――現在6連覇中です。大会へのプレッシャーは?

鈴木: 自分は元々、プレッシャーを感じないタイプです。緊張でガチガチになって力を発揮できなかったという経験はほとんどありません。あまり連覇を意識し過ぎず、初戦からひとつひとつ勝っていくことだけを考えています。

 

――全日本学生優勝大会に対する想いは?

鈴木: 自分は中学、高校の時、東海大が優勝する姿をテレビで観て、“東海大に入学したい”と思いました。東海大に進むきっかけとなった大会なので、個人的に思い入れは強いです。

 

――昨年の国士舘大との決勝では次峰を任され、1階級上(100kg超級)の斉藤立選手(当時3年)と対戦しました。試合後、上水監督が「殊勲は鈴木直登」と称える価値ある引き分けでした。

鈴木: 斉藤選手とはその年の東京都選手権で戦っていたので自信もありました。ゴールデンスコアで敗れたものの、この試合で“こういう組み手をすればいい”というヒントを得ることができた。試合前には上水先生からもアドバイスをいただき、実践したことがうまくハマりました。組み手争いを徹底して戦っていたら、(試合時間の)4分が経っていました。

 

――決勝はその後、1対1のまま、村尾三四郎選手(当時4年)と斉藤選手による代表戦となりました。階級で言えば2階級(村尾90kg、斉藤100kg超級)違い、体重差では倍近くもありました。延長を含め 15分以上の熱戦を制したのは、村尾選手。その時の心境は?

鈴木: 正直、ハラハラしていました。でも試合途中から三四郎先輩が負ける姿は全く想像できなかったですね。

 

  衝撃を受けたウルフの強さ

 

――6連覇に貢献した村尾選手から主将を引き継ぎました。

鈴木: 自分は中学、高校でも主将を経験していましたし、大学3年時に学年代表を任されていたので、主将に選ばれたことに驚きはありませんでした。主将になることを(監督の)上水(研一朗)先生に告げられた時も、“この1年、腹を括ってやらなければいけない”と、すぐにスイッチが入りました。

 

――理想のリーダー像はありますか?

鈴木: 自分の強さを示し、部員を引っ張っていかなければいけない部分もありますが、強さだけでは全員がついてこない。自分はみんなへの声掛けも大事にしています。柔道に真摯に取り組む姿勢を他の部員に示し、部員それぞれとできるだけコミュニケーションを図る。そのバランスをうまく取りながら全体を引っ張るイメージです。

 

――150人近い部員を束ねるのは大変ですね。

鈴木: そんなことはありません。東海大の主将という貴重な経験をすることで、人間的に成長できているという実感があります。それが自分自身の柔道の妨げになることはない。軽量級の主将もいますし、副主将ら他の4年生たちがサポートしてくれているので大丈夫です。

 

――東海大学は山下泰裕さん、井上康生さんなどオリンピック、世界選手権のメダリストを数多く輩出してきた名門です。実際に入ってみて感じた高校時代とのギャップは?

鈴木: 大学1年の時、稽古で先輩方に全く歯が立たず、“これほど実力に差があるのか”と驚きました。“ここでやっていけるのか”という不安もありましたが、自分はそういう環境にワクワクするタイプ。その差を埋めるためには、どうすればいいかを考え、稽古に臨みました。それにより成長することができたと思っています。

 

――最も衝撃を受けた先輩は?

鈴木: ウルフ・アロン先輩(東京オリンピック男子100kg級金メダリスト)です。全部がすごい。パワー、スピード、技のキレ。柔道において必要な能力のすべてが2、3段階上に感じました。初めて組み合った時は、何もさせてもらうことができませんでした。

 

――最後に全日本学生優勝大会の目標は?

鈴木: 7連覇を絶対に達成する。東海大の流れをつくり、ひとりひとりが役割を果たし、結果的に7連覇という戦いをしていきたいと思っています。

 

 期待のルーキー

 

 今年4月、埼玉栄高校から男子 100kg級インターハイ2連覇の実績を引っ下げて入学したのが新井だ。3学年上で同階級の鈴木が「彼は自分にない技のキレを持っている。柔道の豪快さは見ていてもすごい。(同じ階級の)ライバルであり、後輩でもあるので、“自分も頑張らないといけない”とすごく刺激になっています」と認める存在だ。東海大入学後初の団体戦出場となった5月の東京学生柔道優勝大会では、決勝の日本大学戦で一本勝ちを収めるなど優勝に貢献、大会優秀選手賞にも輝いた。

 

――1年生ながら東京学生優勝大会の4試合中3試合で起用され、優勝に貢献しました。

新井道大: 上水先生は自分に責任を持たせたいと考え、起用してくれていたと感じています。自分自身、大学の団体戦の空気を味わっておきたかった。しかし、あまりうまくいかなかったというのが東京学生優勝大会の感想です。

 

――決勝の日大戦は村瀬浩樹選手(1年)に鮮やかな大内刈りで一本勝ちでした。

新井: 決勝も含め、自分としては全然満足できません。自分の柔道をさせてもらえない試合がほとんどでしたから。相手から研究され、高校の時と同じ戦い方のままでは勝てないと痛感しました。特に組み手を鍛える必要があると感じています。この経験を今後につなげていくことが大事だと思っています。

 

――4月に入学したばかりですが、東海大の強さを感じる場面は?

新井: 稽古する相手が本当に強い。例えば乱取りをすると、自分が先輩を投げられるのは1回あるかどうかのレベルです。それほど先輩方との力の差を感じます。

 

――それにより、心が折れたことは?

新井: 結構、落ち込むこともありましたね。ただ大学1年生で、先輩方に投げられることは当たり前。(OBの)村尾さんも「自分も1年生から先輩たちをバンバン投げられるような強さはなかった。体づくりをし、組み手の練習をしっかり積んでいたことで、先輩たちに追いつけるようになった」と言っていたので、今は頑張るしかないです。この環境は当たり前じゃない。世界で活躍するOBや先輩方と一緒に稽古ができる。全国大会にも縁がなかった小学生時代の自分では考えられないこと。貴重な経験をさせてもらっています。

 

――そういった先輩たちと組んでみて一番驚いたのは?

新井: まず全員が強い。組み手争いを制し、自分の技に持っていくのがうまいんです。いかに組み手が大事かということを、稽古を通じて身を持って感じています。

 

「臨機応変に柔道を」

 

――東海大進学の理由は?

新井: 高校時代、稽古に参加した時、雰囲気が良く、先輩たちもすごく優しかった。村尾さんから組み手を教わったり、1学年上の天野さんには「大学に入って組み手を教わり強くなった」と聞いたりもしました。父は日本体育大出身でしたが、東海大の稽古に参加していくにつれ、自分にはここが合っていると感じ、“東海大で強くなりたい”と思うようになったんです。

 

――上水監督からは、どんな誘いを?

新井: 高校3年の時に「あと3年で飯田健太郎選手(旭化成)を倒そう」と言われました。ただ自分としてはもっと早くそのレベル、世界の舞台で戦える実力をつけたいと思っています。同じ階級の飯田選手や、ウルフ先輩たちを倒さないと、自分の目標であるオリンピックへの道は開けてきませんから。

 

――上水監督からは、どんなことを教わっていますか?

新井: 「試合で考えることが大事」と言われました。高校時代は、組んで投げるだけの選手だった。先生からは「相手の状況もきちんと把握して戦わないと一流の選手になれないぞ」とも。

 

――主将の鈴木選手は同じ階級です。

新井: 鈴木先輩との出会いは自分が高校2年生の時の全日本ジュニア決勝です。敗れはしましたが、多少の手応えはありました。しかし、東海大に入ってから先輩の試合を見た時には、力の差が広がっていると感じました。団体戦では安定感があり、一本を取りにいく時は必ず取り切る。主将の重圧もありながら、きっちり結果を残している。見習いたいと思う部分がたくさんあり、自分の模範となる先輩です。

 

――現状の課題は?

新井: 全部ですね。組み手の技術しかり、技や体力ももっとつけていかないといけないと思っています。

 

――団体戦には個人戦にはない、緊張感、一体感、充実感があり、そこに魅力があると聞きます。

新井: みんなの応援をより感じられるので、自分も団体戦は好きですね。高校時代は自分がポイントを取らなきゃいけない立場で、プレッシャーがありましたが、東海大では心強い先輩方がいる。安心して畳の上に立てています。

 

――全日本学生優勝大会に向けての意気込みは。

新井: 上水先生からは「臨機応変に柔道をしよう」と言われています。自分としては全部の試合で一本を取りにいきたい気持ちはもちろんですが、その時の状況をきちんと把握し、自分の役割を果たしたいと思っています。

 

鈴木直登(すずき・なおと)プロフィール>

2001年4月21日、福島県生まれ。東海大4年。男子100kg級。5歳で柔道を始める。四倉中、田村高を経て20年、東海大に入学する。2年時の21年、全日本ジュニア体重別選手権大会で優勝。全日本学生柔道優勝大会には2年時から出場し、東海大の6連覇に貢献した。今年度より主将を任されている。身長175cm。得意技は裏投げ。

 

 

新井道大(あらい・どうた)プロフィール>

2005年1月29日、埼玉県生まれ。東海大1年。男子100kg級。5歳で柔道を始める。埼玉栄中・高を経て23年、東海大に入学する。中・高の団体戦で全国制覇を経験。個人では、高校2年時の21年からインターハイ2連覇、3年時には全日本ジュニア体重別選手権を制した。身長186cm。得意技は大外刈り。

 

BS11では「全日本学生柔道優勝大会」の模様を6月25日(日)19時から放送します。今回取り上げた東海大の他にも、斉藤立選手(4年)擁する昨年準優勝の国士舘大学にも注目が集まります。男子の解説は東海大OBで2016年リオデジャネイロオリンピック100kg級銅メダリストの羽賀龍之介選手、女子の解説は04年アテネ、08年北京オリンピック63kg級金メダリストの谷本歩実さんが担当します。またBS11の公式YouTubeにて昨年度大会決勝の代表戦「東海大 村尾三四郎 vs 国士舘大 斉藤立」を配信中です。名勝負を、大会前にお楽しみください。

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