第250回 ラグビーW杯、木田晴斗への期待

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 2シーズン目のリーグワンは、トップリーグ時代も含めスピアーズ(クボタ)の初優勝で幕を閉じた。

 

 

 その4日後、日本ラグビー協会は、9月開幕のW杯フランス大会に向け、代表36人と代表候補10人を発表した。

 

 その中で、私が最も注目しているのが代表初選出となったスピアーズのWTB木田晴斗だ。

 

 ワイルドナイツ(パナソニック)とのリーグワン決勝戦では逆転トライを決め、株を上げた。

 

 後半29分だ。CTB立川理道のキックパスを腕に収め、インゴールまで走り切った。このトライによりスピアーズは17対15と逆転に成功、これが最終スコアとなった。

 

 芸術的なキックパスで逆転トライをお膳立てした立川、蹴る直前、「パスを投げるか、自分でキャリーするか」で一瞬、迷ったそうだ。

 

 その時、不意に視界に飛び込んできたのが左サイドで手を挙げる木田。立川によると「オレにくれ!」というオーラが全身から出まくっていたという。

 

 トライゲッターには、それくらいの自己主張が必要である。まだ最終メンバーではないが、フランスのピッチで暴れ回る姿を見てみたい。

 

 木田は兵庫県出身の24歳。大阪の関西大倉高、立命館大学を経て、2022年からスピアーズに加わった。

 

 身長176センチ、体重90キロ。上背こそないが、体幹の強さとバランスの良さを誇る。

 

 子どもの頃は空手、それもフルコンタクトの極真空手をやっていたという変わり種。小学4年の時には、極真空手の世界ジュニア選手権で優勝を果たしている。

 

 本人は「空手一筋だったが、元々球技に興味があったので、格闘技の要素があるラグビーが好きになった」と語っている。

 

 空手着からジャージーに着替えた木田にとって、トライの醍醐味は、「一本」に通じるということか。

 

 鋼のような肉体に精悍なマスク。フランスで活躍すれば一躍、スターの仲間入りだ。

 

<この原稿は『週刊大衆』2023年6月26日号に掲載された原稿です>

 

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