プロ野球の世界で“~世代”という呼び名が定着したのは松坂大輔が最初だろう。

 

 

<この原稿は2023年8月7日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 

 言うまでもなく、1998年の春・夏の甲子園を制した横浜高のエース松坂と同学年にあたる80年4月2日から81年4月1日までに生まれた選手たちを指す。

 

 この“松坂世代”の最後の生き残りが福岡ソフトバンクの左腕・和田毅だ。今季、既に5勝(7月17日現在)をあげているが、6月16日の阪神戦から3連敗。7年ぶりの2ケタ勝利に向け、どう立て直すか。

 

 松坂世代の面々は多士済々だ、藤川球児、杉内俊哉、館山昌平、久保田智之、永川勝浩、村田修一、加藤大輔、久保康友、梵英心……。東北楽天で監督を務めた平石洋介も、この世代のひとりである。

 

 2006年の夏を制した早実高のエース斎藤佑樹のニックネームをもじった“ハンカチ世代”なる呼称も人口に膾炙した。

 

 こちらは1988年4月2日から89年4月1日までに生まれた選手たち。代表的なところでは田中将大、坂本勇人、前田健太、梶谷隆幸、吉川光夫、福田永将、木村文紀、柳田悠岐、秋山翔吾、澤村拓一、大野雄大、塩見貴洋、増田達至、石山泰稚、宮﨑敏郎、石川歩、秋吉亮……。実績を重んじて“マー君世代”と呼ぶ者もいる。

 

 このように高校野球においては、スーパースターが出現すると、それに引きずられるように好選手が次々に現れる傾向がある。スカウトが口にするところの“当たり年”だ。

 

「確かにいい選手が出る年は、束になって出ますね。昔、“怪物”と呼ばれた江川卓(作新学院高)を打倒するため、どの高校も必死になって練習した。対策も練った。それによって、この世代のレベルが急激に上がったことがあります。やはり切磋琢磨することが大事なんでしょう」(在京球団元スカウト)

 

 今年も怪物がいる。高校通算140本塁打の佐々木麟太郎(花巻東高)。いずれ“麟太郎世代”と呼ばれる日はやって来るのか……。

 


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