11日、エディオンアリーナ大阪でプロボクシング興行『3150FIGHT vol.6』が行われ、日本スーパーバンタム級4位・中川麦茶(一力)と亀田三兄弟のいとこで日本フェザー級8位・亀田京之介(ハラダ)判定で引き分けた。IBF世界バンタム級挑戦者決定戦は同級5位・西田凌佑(六島)が同6位クリスチャン・メディーナ・ヒメネス(メキシコ)を判定で下し、世界王座挑戦権を手に入れた。

 

 試合前から舌戦、乱闘劇を繰り広げてきた亀田と中川のメインイベントは3者3様のジャッジで1-1の痛み分けに終わった。

 

 入場で先手を取ったのが、後から入場した中川だ。マイク片手にCHAGE and ASKAの『YAH YAH YAH』を熱唱。場内を盛り上げた。前日会見でバンテージを巻く際に立ち合いを要求するなど“場外戦”をリードした。

 

 前日の会見で互いに「どつき合いになる」と火花を散らした両者だが、リング上では静かな立ち上がりとなった。中川が左のジャブを突き刺し、距離を取る。一方の亀田は踏み込んで強打を狙う。

 

 序盤は中川が優位に運んだように映ったが、次第に亀田の強打を食う場面も。互いに決定打のないまま、8ラウンドが終了した。ジャブを多く当てたのは中川、有効打と積極性は亀田。ジャッジは1人が76-76、残り2人が中川と亀田を77-75でそれぞれを支持し、白黒は付かなかった。

 

「ぶっちゃけた話。思ったより弱かった。パンチは自分の方があった」と亀田。「ストレートのパンチあると聞いていた。そこを見過ぎた。距離は遠く感じました」と試合を振り返った。一方の中川は試合の出来を「20点」と採点し、「力み過ぎた。一発で倒そうとし過ぎた。何回やってもボクシングは難しいですね」と反省した。

 

 亀田は「麦茶は『再戦しよう』と言ってきた」と試合後のやり取りを明かした。ただ「やる必要はないかなと。どうしてもと言うなら」と再戦の可能性に含みを持たした程度だった。中川は今後について「(OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者の)武居(由樹)選手がどうするか。1年以内に亀田京之介選手と決着をつけたい」と語った。遺恨マッチの決着はつかなかったが、再戦は互いに勝ちを重ねて機運を高めてからでもいいだろう。

 

 今回の興行のキャッチコピーは<世界を殴りにいこうか!>。文字通り世界戦の挑戦権を得たのが西田だ。“ミスターノーダメージ”の異名を持ち、ディフェンステクニックに優れるアウトボクサーである。

 

 対戦相手のメディーナも同タイプのテクニシャン。「技術がある。今までの選手は考えずに振ってくる。ジャブに合わせて狙ってくるのが分かった。ジャブもあまり出せず、“巧いな”という印象です」と西田が口にしたように、一筋縄ではいかなかった。それでも左ストレートを軸にポイントを稼いだ。

 

 12ラウンドフルに戦い、3-0のユナニマス・ディシジョンで判定勝ち。「ガムシャラにやっただけ」と勝因を挙げたが、相手に当てさせない高度なディフェンステクニックで上回ったということだろう。この勝利で12日(日本時間13日)に同級王座決定戦を行う同級2位・エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と同級3位・メルビン・ロペス(ニカラグア)の勝者への挑戦権を獲得した。

 

 西田はリング上で『3150FIGHT』の亀田興毅ファウンダーに世界戦を直訴。亀田興毅ファウンダーも「必ず3150FIGHTのリングで世界戦を実現させたい。来年1月を目標」と約束した。

 

 また次回興行『3150FIGHT vol.7』(10月17日、東京・大田区総合体育館)で、4月の『3150FIGHT vol.5』で兄弟ダブル世界王座を奪取した優大・銀次朗の重岡兄弟(ワタナベ)がダブル統一戦を行うことを発表。いずれもミニマム級の暫定王者で兄・優大がWBC、弟・銀次朗がIBFのベルトを持つ。2人は正規王者と戦う。

 

 重岡兄弟は揃ってリングに上がり、本来はこの日のメインを務めるはずだった銀次朗は「次は例えケガしても試合をやります」と語った。優大も「相手は2人とも強いが、重岡兄弟の方が強いことを証明します」とファンに力強く宣言した。

 

(写真:©3150FIGHT)