日本発のプロダンスリーグ「第一生命D.LEAGUE」は9日、新シーズン開幕に先駆け、「D.LEAGUE 23-24 ROUND.0」を東京・国立競技場地下駐車場の特設会場で開催した。全13チームがパフォーマンスを披露し、新シーズンへの意気込みを語った。

 

 アンダーグラウンドな雰囲気を醸す地下駐車場で、例年プレスカンファレンスというかたちで行われる“顔見世”は行われた。3連休の最終日、「スポーツの日」。開幕を20日後に控えるD.LEAGUEが、14のROUNDを戦う前ということで、ROUNDはゼロだ。今季はDリーガーのアーティストとしての魅力を発信し、ブランドを確立させていくために、各チームが自チームを象徴するパフォーマンスを制作。それを初披露した。さらにMV化した「Dance Artist Movie(DAM)」をD.LEAGUE公式YouTubeで公開した。

 

 今季から新たにDYM MESSENGERS(ディーワイエム メッセンジャーズ)が参入し、13チーム編成となった。SYMBOL-ISM(シンボリズム)のリーダーとしてチームを国内最大級のストリートダンスコンテスト「JAPAN DANCE DELIGHT」優勝に導くなどの実績を持つTAKUYAディレクターが「ダンスを長くやっていれば僕らを脅威に感じるは当然だと思っています」と強気のコメント。「そのくらいのスキルが卓越した子たちが集まっている」と神田COOも認める新チームである。TAKUYAディレクターは「D.LEAGUEの価値観やダンスの見方など、いろいろ更新できると思います。僕らのクールなストリートスタイルを楽しんでもらいたい。僕らからのダンスのメッセージを楽しみにしていてください」と所信表明をした。

 

 オーナー企業USEN-NEXT HOLDINGSとの契約終了により、今季からチーム名を改めたのがMedical Concierge I'moon(メディカル コンシェルジュ アイムーン)だ。MIZUE新ディレクターは「7名の新しいメンバーを加え、新たなスタートを切ります。皆さんを驚かせるようなストーリーを描いていきます」と宣言した。昨季は最下位に終わり、巻き返しを誓う。

「前シーズン、一番悔しい思いをした私たちが、トップをしっかり目指します。このストーリーで皆さんを感動させ、すべての人たちに勇気を与えます。その約束を今日しに来ました」

 

 レギュラーダンサーが、ダンサー兼新ディレクターとなった2チームを紹介しよう。3季連続CS進出を果たしているFULLCAST RAISERZ(フルキャス レイザーズ)と、加入3季目のdip BATLLES(ディップ バトルズ)である。RAISERZは、ディレクターがTWIGGZ "JUN"からKTRに代わった。BATTLESは、昨季「BEST SKIL」を受賞したKENSEIが21歳でリーグ最年少ディレクターに就任。5人の新メンバーが加入した。

 

 KTRは今季の目標に「誰も成し遂げていない(レギュラーシーズン&CSの)ダブル優勝」を挙げた。「JUNさんがつくってきた3シーズンは、すごく高い壁。それを超えていく新生RAISERZをつくるためにやっています。まずはそれができない優勝はできない」。ディレクターになったことで、「チームへの見え方が180度変わった。あとは責任感がいつも以上についてきた」と心境の変化を口にする。

 

 一方、KENSEIは「変わったことは人との接し方。今までダンスのことしか考えてこなかった。人の気持ちを考える大切さを知りました」と話したが、ステージ上での演説では、最年少らしく勇ましかった。

「今シーズンの僕らのテーマは新時代を創る。D.LEAGUEを盛り上げ、ひとつの社会現象となるように身を粉にして頑張ろうと思っています。こんな尊敬できる数々のダンサー方やディレクターがいる中ですが、全然年とかは関係ない。これからブチかましていきます!」

 

 昨季レギュラーシーズン王者のCyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)のFISHBOYディレクターは「観る前も後も皆さんにワクワクしていただきたい。これは昨シーズンも言い続けてきたこと。今シーズンも一貫して言い続けたい」と語り始めた。「ただ今日はROUND.0用にちょっと言葉を変えたい」と口にし、「続く感動を創る」と約束し、4つの誓いを立てた。

「1つ、観に来てくれた皆さんの心を動かします。2つ、シーズン中、チームとして海外に挑みます。3つ、シーズン優勝とCS優勝を果たします。4つ、シーズン後ワンマンライブを行います」

 昨季はCS制覇にあと一歩届かなかった。リーダーのTAKUMIも「今年こそは雪辱を果たしたい」と意気込む。レギュラーシーズン連覇、昨季一歩届かなかったリーグ優勝に挑む。

 

 ディフェンディング・チャンピオンとなるKADOKAWA DREAMS(カドカワ ドリームス)。この夏、イギリスで行われたストリートダンス世界大会「UDO STREET DANCE WORLD CHAMPIONSHIP」に初出場ながら3位入賞を果たした。今季、チームユニフォームのカラーを白から青に変更。「(格闘技などでの)挑戦者のブルーコーナー。僕らはいつでも挑戦者という意味でブルーに変えました」とKEITA TANAKAディレクター。「もう一度、勝負に挑むつもりでここに立っている」と4季目を迎える。KEITA TANAKAディレクターは「僕らが目指すのは優勝ではない」と明言し、こう続けた。

「ひっくり返すこと。ダンスで何を? 世界を」

 

 この日のイベントに神田勘太朗COO、平野岳史CEOは登場しなかった。会場には来ていたのにも関わらずだ。その意図を神田COOに聞いた。
「どうやってチームを持つのか、どういう人がリーグを運営しているのか。その流れを説明する3年間でした。4季目になってD.LEAGUEがあって当たり前なってき始めている。それもあって今季から主軸をチームとディレクターに向けていった。記者会見形式ではファンの人たちと、選手、ディレクター、チームの距離も遠くなってしまう。toファンに向けた施策をより強くしていく。今季は有観客で歓声もありという状態で初めてスタートします。最初からトップギアで最後まで走り抜けたいと思います」

 

 4季目を迎えたD.LEAGUE。「石の上にも三年」「商い三年」ということわざもあるが、果たして積み上げてきた結晶がどう生きてくるのか。新シーズンの初戦は10月29日、東京・ガーデンシアターで行われる。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

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