現地時間21日、ラグビーW杯フランス大会準決勝がパリ郊外サンドニで行われ、プールB2位の南アフリカ代表(スプリングボクス)がプールD1位のイングランド代表を16-15で破った。前回大会優勝のスプリングボクスは2大会連続の決勝進出(28日、サンドニ)。同準優勝のイングランドは27日の3位に決定戦に回る。

 

 前回大会の決勝カードはスプリングボクスが、またしても勝ち名乗りを上げた。
 
 2連覇を目指すスプリングボクスは、準々決勝のフランス戦と同じメンバーで臨んだ。23人中15人が前回大会の優勝を経験。その立役者SHファフ・デクラーク、SOハンドレ・ポラード、FBウィリー・ルルーらはベンチスタートとなった。
 
 先制したのはイングランド。身長196cmのFBフレディ・スチュワードをはじめとした長身バックスリー存分に生かしたキック戦術で先手を取る。ラインアウトを含めた制空権を制圧し、試合を優位に運んだ。3分、10分にSOオーウェン・ファレルがPGを決めて6-0とリードした。
 
 スプリングボクスは21分、SOマニー・リボックのPGで3点を返したが、24分にファレルのPGで再び6点差に引き離される。なかなかリズムを掴めずにいると、スプリングボクスの首脳陣は早くも交代カードを切る。31分にリボックに代えてポラードを投入。前回大会得点王のゲームメイクにかけた。ポラードは最初のPGを決めて期待に応えた。
 
 イングランドは前半終了間際にファレルのPGでリードを再び、6点差にすると、後半13分にはハーフウェイライン付近でDGを狙った。この日100%の成功率を誇った背番号10のキックはゴールポストの間を射抜いた。15-6と、この日最大の点差がついた。
 
 スプリングボクスはボム・スコッド(南アフリカのリザーブメンバーの呼称)を次々とピッチに送り込む。16分には8人の交代枠をすべて使い切った。特に爆発的な効果があったカードのひとつが、9分から出場したPRオックス・ヌチェの存在だ。身長173cm、体重105kgの28歳はスクラムで抜群のパワーを発揮。20分、24分、28分と出場してからの約20分間に3度のスクラムで相手から反則を誘ったのだ。
 
 29分には初トライが生まれる。敵陣右サイドで得たラインアウトモールからFLデオン・フーリーが抜け出し、最後はLOのRG・スナイマンが身長206cm、体重117kgの巨体をインゴールにねじ込んだ。ポラードのコンバージョンキックが決まり、ついに2点差に迫った。得点に絡んだフーリー、スナイマン、ポラードはいずれも途中出場の選手。起用が見事にハマッた。
 
 スクラムで圧倒するスプリングボクスは37分、ハーフウェイライン付近でのスクラムを得る。2度の組み直しの後、ぶつかり合った8人がペナルティーを奪う。これで得たPGはゴールまで50m近くあったが、ポラードが冷静に決めて、16-15とこの日初めてリードした。最後は途中出場のSHファフ・デクラークなどの激しいプレッシャーで相手のノックオンを誘い、劇的な試合に終止符を打った。
 
(文/杉浦泰介)