(写真:NTD時代の藤井新監督。W杯フランス大会最終メンバー発表会見では選手の名を読み上げた)

 21日、「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」(リーグワン)の静岡ブルーレヴズ(静岡BR)が、日本代表(ジャパン)のナショナルチームディレクターを務めた藤井雄一郎新監督就任会見を浜松市内で行った。

 

 過去2シーズンはいずれも8位。前身のヤマハ発動機ジュビロ時代には、2014年度の日本選手権を制し、リーグ戦はトップ4常連となりつつあったクラブとしては、この現状に甘んじるつもりはないだろう。静岡BRの強化部部長とGMを兼務する山谷拓志社長は「チームを強くし、優勝争いをできるチームにしてほしい」と新指揮官に期待を寄せる。

 

「プロ選手中心のチームづくりで、成果を出されてきた。事業と強化のバランスを分かっており、世界のことを知っている。必要な知識、スキル、経験を持ち合わせている」
 そう山谷社長が高く評価するのが、ジャパンのナショナルチームディレクターを務めてきた藤井新監督だ。クラブレベルでも05年にサニックスの監督に就任し、低迷していたチームを引き上げた実績を誇る。

 
「元々は現場にいた人間。次やるならどこかのチームで監督をやりたいと思っていた」と藤井監督。いくつかオファーがあるうちのひとつ、静岡BRを選んだのは「以前から交流があって好きなチーム」だったからで、「迷いはなかった」という。今季の静岡BRは、藤井監督をはじめ、ジャパンのジェイミー・ジョセフHC体制に馴染みのある人物がスタッフに揃う。強固なスクラムを作り上げた長谷川慎ACが2年間のアドバイザーから現場復帰。前HCの堀川隆延ACは18年からジャパン予備軍のナショナル・デベロップメント・スコッドのHCを務めた。吉水奈翁通訳もスタッフ入りした。長谷川ACはスクラムを中心にセットプレーやFW、堀川ACはディフェンス面を任されるようだ。
 
「(サニックス時代は)どうやって上に勝つのか、奇抜なことをやらないといけなかった。ベースの部分、知識、使い方を学んできた。コンタクトエリアの強化方法はジェイミーの得意なところ。そこを勉強してきた。あの頃と頭の中は変わっている」
 ジャパンに関わってきた知見を生かすつもりだ。藤井監督は理想のチーム像を「いろいろなことができるチームにしていかないとトップ4には勝てない。強みを磨いていく。ゲインラインを切って、ゲインラインを止める。自分たちは前に出て、相手は前に進められない」と語った。
 
 新指揮官の掲げる目標は「トップ4」 だ。「8位はどのチームにも勝ち星(勘定)に入れられている。そう簡単には渡さないしぶといチーム。トップ4に入れるチームをつくっていきたい」と意気込む。 今回のW杯フランス大会のメンバー入りはかなわなかったが、HO日野剛志、PR伊藤平一郎、LO大戸裕矢をはじめ、ジャパンの候補に挙がっていた選手はいる。南アフリカ代表のNo.8クワッガ・スミス、トンガ代表のFBチャールズ・ピウタウが在籍し、藤井監督も「選手の持っているポテンシャルは他のチームと変わらない」と自信を見せる。

 過去2シーズン、トップ4はクボタスピアーズ船橋・東京ベイ、埼玉パナソニックワイルドナイツ、東京サントリーサンゴリアスの3チームが続けてプレーオフに進んでいる。そのトップ4の一角に静岡BRは割って入れるのか。新指揮官のマネジメント力、采配力にも注目だ。
 
(文・写真/杉浦泰介)