29日、日本発のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE 23-24 REGULAR SEASON ROUND.1開幕戦」が東京ガーデンシアターで行われた。今季から1チームが増え、13チームの総当たり対戦方式で争われる。開幕戦は昨季チャンピオンシップ(CS)に出場した6チーム中4チームが勝利し、同5チームが勝ち点を獲得。昨季リーグ初優勝のKADOKAWA DREAMS(カドカワ ドリームズ)、同レギュラーシーズンを制したCyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)などが白星スタートとなった。このラウンドのMVD(Most Valuable Dancer)にはSEPTENI RAPTURES(セプテーニ ラプチャーズ)のMiYUが輝いた。

 

 ROUND.0開催から20日後、4季目のD.LEAGUEが幕を開けた。前売りチケットは完売、会場には約5000人の観客が詰め掛けた。

 

 今季はDYM MESSENGERS(ディーワイエム メッセンジャーズ)が新たに加わり、13チームによる総当り戦で行われる。バトル形式で計14ROUND。1ROUNDにつき6試合が組まれ、1チームが試合なしとなる。各match青コーナー(先攻)、赤コーナー(後攻)の順にROUND.0で初披露した自チームを象徴するパフォーマンスで入場。リーダーのコメント映像を流し、ショーケースに入る。赤コーナーも同様に入場、コメント映像、ショーケースの順になるため、先攻の優位勢はそれほど大きくないだろう。

 

 1st MATCHはValuence INFINITIES(バリュエンス インフィニティーズ)vs.Legit。INFINITIES がブレイキンとヒップホップで魅せれば、Legitは「More Than Diamond」をテーマにした煌びやかなスーツを纏い、ロッキン、ポッピン、ブレイキンを織り交ぜたショーケースで対抗した。ジャッジ5人は「スキル」「クリエイション」「コレオグラフ」「スタイル」「完成度」の5項目を審査する。オーディエンス票はD.LEAGUEオフィシャルアプリ会員の得票数で優劣を決める。ジャッジ+オーディエンスの計6票のうち得票数が多いチームが勝者となる。5対1で勝利したのはLegit。2季ぶりに復帰した1ch(イチ)が「初戦で超プレッシャーだった。みんなの気持ちをひとつにして、ダイヤモンドのような固い結束でいいパフォーマンスができた」と胸を張ったように、シンクロ率、完成度で上回ったように映った。

 

 2nd MATCHはBenefit one MONOLIZ(ベネフィットワン モノリス)とLIFULL ALT-RHYTHM(ライフル アルトリズム)が3対3のドローとなった。互いの世界観を存分に発揮したショーケースだったが、甲乙つけ難く票は割れた。3rd macthはSEGA SAMMY LUX(セガサミー ルクス)とavex ROYALBRATS(エイベックス ロイヤルブラッツ)が対戦。エネルギッシュでパワフルなダンスのLUXに対し、ROYALBRATSはPUBをイメージした小道具満載の舞台で魅せるショーケース。前者がカッコ良さに振り切ったものならば、後者は楽しさを満喫しているようだった。結果はROYALBRATSが4対2でLUXを振り切った。リーダーのJUMPEIは「ギリギリまで詰めてもぎ取った勝利です」と勝利を喜んだ。

 

 ハーフタイムでは今季のアンバサダーを務める日韓ダンスボーカルグループがコラボした「FANTATSICS×EPEX」がテーマソング『Peppermint Yum』を披露し、会場を温めた。後半戦のスタートとなる4th MATCHは昨季最下位と王者の対決となった。USEN-NEXTからMedical Concierge I'moon(メディカル コンシェルジュ アイムーン)へと鞍替えするかたちとなったI'moon。「自由と個性」をテーマにダンサーそれぞれバラバラのカラフルな衣装で、新生I'moonを惜しげもなくアピールした。一方のDREAMSは昨季CS制したゴリゴリのヒップホップ。”止め”“決め”の緩急交えたパフォーマンスで王者の貫禄を見せた。ここはDREAMSが5対1でジャッジの支持を得た。

 

 DREAMSのMINAMIよると、23日に披露するショーケースを急遽変更したという。「今週の月曜日に曲が変わりました。曲名は『GIFT』。いろいろな捉え方があると思います。皆さんにいろいろなものが届いたらいいなというのは、もちろんですが、自分の勝手な解釈としてはKEITA(TANAKAディレクター)さんが、私たちのやりたかったヒップホップを信じてやらせてくれた」。KEITA TANAKAディレクターは「1週間で曲と衣装、踊り制作は無理なこと。僕としてもリスクでしたが、メンバーを信じた。時間がない中で、チームが一致団結することは期待しました」と口にする。今回の戦士や兵士を想起させる衣装は、今季の戦いに挑む覚悟の表れのようにも見えた。

 

 元々、予定していたショーケースが陽の目を見ないわけではなさそうだ。KEITA TANAKAディレクターは次戦以降に持ち越すことを示唆。「(戦略が)なければここまでのリスクは取らなかった。だから『ここで挑戦した方がいい』とメンバーには伝えました」。2連覇を目指し、レギュラーシーズンとの完全優勝に挑戦する姿はもちろんのこと、この作品が披露される日はいつになるのかも注目だ。

 5th MATCHはRAPTURESがdip BATTLES(ディップ バトルズ)を、6th MATCHはFULLCAST RAISERZ(フルキャスト レイザーズ)がKOSÉ 8ROCKS(コーセー エイトロックス)を4対2で下した。RAPTURESは今季のテーマ「Insane “BLUE”」(狂気的な青)を象徴するようなダークな世界観で魅了。BATTLESは新ディレクターにダンサーのKENSEIを据え、新たなスタートを白星で切りたかったが、惜しくも敗れた。獲得票数は4対2だがジャッジポイントを見れば208対204と大きな差はなかった。それほど5名のジャッジも頭を悩ませたのではないだろうか。ブレイキンの8ROCKSとクランプのRAISERZは互いのスタイルを剥き出しにした対戦となった。新ディレクターとなったKTRは勝因に「仲間を信じてきたこと」を挙げる。「仲間というのはファンの皆さん。オーディエンスの1票を取れなかったら、3対3で引き分けだった。一緒についてきてくれた皆さんの1票で勝てた」と感謝の意を述べた。

 ROUND.1のMVDはMiYUが選ばれた。この日のRAPTURESのショーケースにおける主役は間違いなく彼女だったが、脇を固めたメンバーへの感謝を口にした。

「うれしいの一言に尽きます。うれしい気持ちと共にみんなへの感謝の気持ちでいっぱいです。私がMVDに選ばれたのは主役としてステージに立たせてもらったから。一緒にいいパフォーマンスをしてくれたメンバーのみんなのおかげで取れた。私1人の力で取ったとは1ミリも思っていません」

 

 RAPTURESは昨季11位と振るわなかった。MiYUは以前、「学びの年でした」と振り返り、こう敗因を話していた。「個々の力で強過ぎる部分があり、まとまりに欠けるようなところがあったのかなと思います」。オフはダンス練習のみならず、基礎トレーニング、ウエイトトレーニングをやり込んだ。「しんどい思いをたくさんしたけど、今シーズン勝つための努力をしてきました」。今季から新加入したAOIは「フィジカル面を強化してきた。その成果が今回のROUNDでのキレが出ていた。前シーズンとは違ったRAPTURESが見せられると思う」と語った。昨季の悔しさをガソリンに、RAPTURESは青く燃えている。


 次のROUNDからはいよいよ新チームMESSENGERSの登場だ。11月13日、東京ガーデンシアターでINFINITIESと対戦する。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

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