4日、ボストン・レッドソックスとシアトル・マリナーズ戦がレッドソックスの本拠地、フェンウェイパークで行われた。レッドソックスの先発・松坂大輔とマリナーズのイチローの今季2度目の対決は1打数無安打、2四球だった。松坂は初回にいきなり5点を奪われるなど、5回7失点。メジャー移籍後ワーストの内容でマウンドを降り、勝敗はつかなかった。試合はレッドソックスが8−7で勝利した。
 4月に予定されていた対戦が雨天中止になり、この日のゲームは急遽組まれた代替試合だった。天候のいたずらが生み出した松坂VSイチローの第2R。しかし、両者にとっては不完全燃焼の感が否めない対決となった。

 注目の第1打席はストレートから入った。4月12日のメジャー初対決の第1打席は変化球から入り、ストライクをとることを優先させたが、今回は違った。
 低めのきわどいコースのボールにもかかわらず、イチローも打ちにかかる。打球はバックネット裏へのファールになった。ただ、好勝負の予感はそこまで。その後、3球連続ボールが続き、フルカウントから最後に投じた150キロのストレートも明らかなボール。力んで制球の定まらない松坂はイチローを歩かせた。

 松坂相手にメジャーで初めて出塁を果たしたイチローはすかさず二盗を試みる。これが決まってイチローは41連続盗塁成功。ライバルからセカンドベースを奪ってア・リーグの記録を更新した。
 松坂は続くエイドリアン・ベルトレ、ホセ・ビドロに連続四球を許し、初回から無死満塁のピンチを背負う。ラウル・イバネスの内野ゴロに打ち取るが、三塁走者のイチローが生還。マリナーズが先制点を奪う。

 さらにリッチー・セクソンに死球を与えて、再びすべての塁を埋めてしまうと、6番ホセ・ギーエンには甘く入ったスライダーをライトに運ばれた。タイムリー2塁打。さらに2点を失ってリードを広げられる。
 こうなると野手のリズムも悪くなる。7番・城島健司には遊ゴロを打たせるが、ショートがはじいてタイムリーエラー。続くユニエスキー・ベタンコートの当たりもショートを襲い、内野安打。それぞれ1人ずつが還って、松坂は初回からまさかの5失点となった。

 打者一巡で早くも初回に再びまわってきたイチローとの第2打席、今度はカットボールから入った。やや真ん中によりに入ったボールをイチローは振りぬく。打球はセンターの後方を襲ったが、ココ・クリスプが後退しながらグラブに打球を収めた。イチローとの2打席目を制し、松坂にとって悪夢のような初回の攻撃が終わった。

 対するレッドソックスは最近2試合で6点、4点と失点の多い松坂を打線が援護する。2回裏、5本のヒットを集中して、マリナーズの先発ホレシオ・ラミレスから5点を奪って試合を振り出しに戻す。
 これで波に乗りたい松坂は2〜4回はイチローに四球を与えた以外は、簡単にアウトを重ねていく。すると4回、主砲マニー・ラミレスの2ランが飛び出し、7−5。レッドソックスが逆転に成功する。

 ところが、このゲームの松坂は最後まで乗り切れなかった。5回、1死からイバネスを5つ目の四球で歩かせると、続くセクソンに高めに甘く入ったストレートを引っ張られ、レフトのグリーンモンスター直撃のヒットを許す。さらに初回にタイムリーを浴びているギーエンにも高めのボールを振りぬかれ、打球は詰まりながらセンター前に落ちた。点差はわずか1点に縮まる。
 城島を抑えてひと段落したのもつかの間、8番・ベタンコートの完全に打ち取った当たりはショートの前に転がる内野安打。三塁走者が生還し、7−7の同点。リードを守りきれなかった松坂はこの回限りでマウンドを降りた。

 5回96球で7失点、四死球は6で三振はわずかに1……どれをとっても今季最悪の内容で松坂VSイチローの対決は3打席で幕を閉じた。
 今の松坂は1度崩れ始めると歯止めがきかない。防御率は5.45に跳ね上がり、6回を3失点以内に抑えるクオリティ・スタートもままならない状況だ。期待が大きかっただけに、現地メディアやファンの厳しい評価は避けられないだろう。

 課題は言うまでもなく走者を背負ったセットポジションでの投球だ。メジャーの固いマウンドに対応するため、ステップ幅を変えるなど試行錯誤を続けてきた背番号18の目前に、また新たなメジャーの壁が立ちふさがっている。
 
 主砲・ラミレス、貴重な決勝弾
シアトル・マリナーズ  7 = 500020000
ボストン・レッドソックス 8 = 05020001×
勝利投手 ドネリー(1勝1敗)
敗戦投手 リーツマ(0勝1敗)
セーブ   ロメロ(1S)
本塁打   (レ)ラミレス4号2ラン、5号ソロ

【イチロー成績】
 3打数0安打
第1打席 四球
第2打席 中飛
第3打席 四球
第4打席 中飛
第5打席 左飛

【城島成績】
 4打数0安打1打点
第1打席 遊ゴロ失(1打点)
第2打席 空振三振
第3打席 一ゴロ
第4打席 中飛

<松井秀、日米2000安打まであと2本>

 同日行われたテキサス・レンジャーズとニューヨーク・ヤンキースのダブルヘッダーでヤンキースの松井秀喜外野手がいずれもスタメン出場。第1試合では8回に試合を決める勝ち越しのタイムリーを放つなど2安打を記録した。続く第2試合も2塁打と安打を1本ずつ連ね、この日は計4安打の固め打ち。日米通算2000本安打まであと2本に迫った。

 ヤンキースは5日から本拠地ヤンキースタジアムでのマリナーズ4連戦を控えている。5日には井川慶が先発予定だ。ルーキー左腕を援護する一打で一気に大記録達成なるか。イチロー、城島との日本人対決の行方とともに注目したい。

【松井成績】
・第1試合 4打数2安打2打点
第1打席 二ゴロ(1打点)
第2打席 右二塁打
第3打席 中飛
第4打席 中二塁打(1打点)

・第2試合 4打数2安打
第1打席 空振三振
第2打席 左飛
第3打席 右二塁打
第4打席 右前安打 
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