「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」(リーグワン)のコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)は1日、神戸市内で記者会見を開き、デイブ・レニー新HCらが今季に向けて意気込みを語った。またWTB山下楽平、LOブロディ・レタリックによる共同主将体制も発表した。

 

 昨季は前身のトップリーグ時代を合わせても最低の9位に終わった神戸S。2018-19シーズン以来のタイトル奪還に向け、オーストラリア代表(ワラビーズ)の元HCであるレニー氏を招聘。ニュージーランド代表(オールブラックス)109キャップのレタリック、同81キャップのNo.8アーディ・サベアらを獲得して巻き返しを狙う。レタリックは14年の、サベアは今年のワールドラグビー年間最優秀選手賞に輝いている。現在、世界最高峰のLOとNo.8と言っていいだろう。

 

 SOダン・カーターを擁し、15シーズンぶりにリーグの頂点に立ってから5シーズン王座から遠ざかっている。リーグワンがスタートしてからは7位、9位とプレーオフトーナメントにすら進めていない。レタリックが「神戸をトップに押し戻すのが役割」と口にすれば、サベアも「トップに連れて行く一端を担えたら。できる限りを尽くしたい」と誓った。

 

 報道陣から互いの紹介を頼まれると、レタリックは「世界中のラグビー関係者にとってインスピレーションを与えられる選手」とサベアを評した。一方のサベアは「多くを語らずとも素晴らしい選手というのは周知の事実だろう」と言い、続けた。

「対戦相手ではなく、共に闘えることをうれしく思う。そしてリーダーとしてチームを正しい方向に導いてくれるはずだ」

 

 新体制は山下とレタリックの共同主将体制を敷く。その理由を指揮官はこう述べた。

「楽平をキャプテンに選んだ理由のひとつが、ここまで素晴らしい取り組みをしてくれたこと。その上で周りのメンバーにもチャレンジを求めてくれる。周りからもリスペクトされていることから彼を選んだ。ブロディについては以前にも神戸に在籍し、このチームに対する理解がある。今季から3シーズンいるので、自身の経験を伝えていってほしい。この2人による共同キャプテンがチームに合っていると考えた」

 

 これを受け、2人はどういうリーダーシップを発揮したいと考えているのか。

「まずは選手としてスペシャルじゃないといけないと思っています。まずは身体を張り、結果を出すことを第一にやりたい。スティーラーズにはポテンシャルの高い選手が揃っている。外国人選手、日本人選手たちのポテンシャルを引き出し、いい結果を出すことに繋げていくかが僕に求められること。周りの選手、コーチ陣とコミュニケーションを取り、いいチームにしていきたい」(山下)

「いいリーダーの条件は、いい見本になること。周りの若い選手に対し、自分の持っている知識や経験を与え、彼らがいい選手になれるかどうかを手助けする。フィールドに出た時にいいプレーができるかどうかが必要不可欠。状況に応じて、周りの選手たちの意見を吸い上げながら自分ができることをやる」(レタリック)

 

 新体制で王座奪還を目指す神戸S。世界最優秀選手が入ったからといって、すぐにトップに戻れるとは限らない。「優勝しか見ていない。目指すだけ自信は付いた」と山下。鉄のように強固なチームワークを築けるのか。レニーHCの手綱さばきにも注目したい。

 

(文/杉浦泰介、写真/コベルコ神戸スティーラーズ提供)