“ゼロ”で1万人呼ぶ――相模原DBの挑戦 ~リーグワン~

0人--。 各チームが10月から11月にかけて行われていたW杯フランス大 会出場選手を抱える中、相模原DBには1人もいない。その点で” W杯効果”は望めず、集客面で苦しむことになりそうだが、 チームはホストスタジアムの相模原ギオンスタジアムで行われる9 日の開幕戦を「 相模原1万人プロジェクト」と銘打ち、 プロモーションを積極的に行っている。
5日午前10時発表時点でのチケット売り上げ状況によれば、 9000人以上の集客が見込まれている。昨季の最多7089人( 3月12日、横浜キヤノンイーグルス) を上回ることはほぼ確定で、 目標の大台到達まで1000人を切っている。スタンドを ダイナメイト&ウリボアーズ(相模原DBファン、 サポーターの愛称)が緑に染めれば、 選手たちにとっても発奮材料となるだろう。

「かなりきつかった。去年は走る系が多く、心肺機能を鍛えられた。今年はより実戦に近いトレーニングでした。乳酸が溜まった状態でどれだけ走れるか、心拍数が上がった状態でもやりたいラグビーをできるかを求められてきた。かなりハードだったと思います。きつい練習の成果で、プレシーズンマッチでも疲れが見せるというシーンは少なかった」
加入2季目となるPR知念雄も「朝食を食べ過ぎた日は大変です」と苦笑し、こう続ける。
「練習のボリューム、質が上がった。去年は3セットだったのが5セットに増えることも。タフさを求め、継続して強化してきました。去年よりもダイナボアーズらしさを体現する準備をしてきたと思います」

石井晃GMは「昨季はシーズン直前で補強するなど、選手をやり繰りする状態だった。今季は“誰を使うんだろう”と悩めるようになってきた」と語るほど戦力の厚みは増した。「層が厚くなったのはいいことで、チーム内の競争もすごく激しくなっている。新しく入ってきた選手も、チームがやりたいことを理解し、そのために動いてくれる選手ばかり。本当に心強い」と岩村。グレン・ディレーニーHCも「ジャージーを勝ち取る争いが熱ければ熱いほど選手のパフォーマンスが上がる」と補強による活性化を歓迎している。

「成長している途中のチームに加わることで自分も成長できると思った」とトヨタVからの移籍を決断した吉田。「試合に出れば個の強みを出せるように。自分がやるべきことをどうするかをしっかり考えながらプレーしたい」と意気込む。
「躍動するチームのひとりとして勢いをもたらすプレー、発言、リーダーシップでエナジーを与える存在になりたい」

ディレーニーHCは「まずは自分たちのやり方でプレーすることが大事。自分たちの戦い方でぶつかっていきたい」と話した。開幕戦は花園近鉄ライナーズと対戦する。2季目の進化が問われる一戦となりそうだ。
(文・写真/杉浦泰介)