「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」(リーグワン)の三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)はディビジョン1(D1)での2シーズン目を迎える。昨季は昇格チームながらリーグワン序盤の台風の目となった。だが後半戦に入ると負けが込み、10位に終わり、入れ替え戦に回った。9日に開幕する2023-24シーズンも、チーム一丸、ハードワークする“全緑”で挑む姿勢を貫くことに変わりはない。
 
 0人--。各チームが10月から11月にかけて行われていたW杯フランス大会出場選手を抱える中、相模原DBには1人もいない。その点で”W杯効果”は望めず、集客面で苦しむことになりそうだが、チームはホストスタジアムの相模原ギオンスタジアムで行われる9日の開幕戦を「相模原1万人プロジェクト」と銘打ち、プロモーションを積極的に行っている。
 
 5日午前10時発表時点でのチケット売り上げ状況によれば、9000人以上の集客が見込まれている。昨季の最多7089人(3月12日、横浜キヤノンイーグルス)を上回ることはほぼ確定で、目標の大台到達まで1000人を切っている。スタンドをダイナメイト&ウリボアーズ(相模原DBファン、サポーターの愛称)が緑に染めれば、選手たちにとっても発奮材料となるだろう。
 
 チーム最大の武器、粘り強いディフェンスを支えたハードワークは今季も健在だ。7月下旬に始動し、シーズンを迎えた。キャプテンのSH岩村昂太は夏合宿をこう振り返った。
「かなりきつかった。去年は走る系が多く、心肺機能を鍛えられた。今年はより実戦に近いトレーニングでした。乳酸が溜まった状態でどれだけ走れるか、心拍数が上がった状態でもやりたいラグビーをできるかを求められてきた。かなりハードだったと思います。きつい練習の成果で、プレシーズンマッチでも疲れが見せるというシーンは少なかった」
 
 加入2季目となるPR知念雄も「朝食を食べ過ぎた日は大変です」と苦笑し、こう続ける。
「練習のボリューム、質が上がった。去年は3セットだったのが5セットに増えることも。タフさを求め、継続して強化してきました。去年よりもダイナボアーズらしさを体現する準備をしてきたと思います」
 
 今季、FL/No.8マリノ・ミカエリトゥウ、CTBトニシオ・バイフ、FL/No.8/LO吉田杏らボールキャリアーに加え、ハーフ団はSH/SOジャック・ストラトン、SO/FBジェームス・グレイソンを補強した。バイフとストラトンは東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)、吉田はトヨタヴェルブリッツ(トヨタⅤ)からの移籍組。ミカエリトゥウはスーパーラグビー・パシフィックのハイランダーズ、グレイソンはイングランド・プレミアシップのセインツから加入した。
 
 石井晃GMは「昨季はシーズン直前で補強するなど、選手をやり繰りする状態だった。今季は“誰を使うんだろう”と悩めるようになってきた」と語るほど戦力の厚みは増した。「層が厚くなったのはいいことで、チーム内の競争もすごく激しくなっている。新しく入ってきた選手も、チームがやりたいことを理解し、そのために動いてくれる選手ばかり。本当に心強い」と岩村。グレン・ディレーニ―HCも「ジャージーを勝ち取る争いが熱ければ熱いほど選手のパフォーマンスが上がる」と補強による活性化を歓迎している。
 
 中でも吉田は、ディレーニ―HCが「キャリーができフィジカルがとても強い。それを試合で見せて欲しい」と期待を寄せる1人だ。「フィジカルがすごい。ダイナボアーズはディフェンスがいいチームですが、昨季アタックの面では他チームの脅威になれていなかった。吉田杏はアタックで脅威になれる存在」とは前所属のトヨタVでもチームメイトだった岩村の談。知念からも「ボールを持ったら絶対前に出てくれる。彼にボールが渡るとワクワクする」と信頼は厚い。
 
「成長している途中のチームに加わることで自分も成長できると思った」とトヨタVからの移籍を決断した吉田。「試合に出れば個の強みを出せるように。自分がやるべきことをどうするかをしっかり考えながらプレーしたい」と意気込む。
「躍動するチームのひとりとして勢いをもたらすプレー、発言、リーダーシップでエナジーを与える存在になりたい」
 
 ニューフェイスは選手だけにあらず。BL東京のアタックコーチを務めていたジョー・マードックACが就任。岩村は「今年は相手の脅威となれるアタックをチームとして身に付けている」と進化の手応えを口にする。「よりボールが動き、トライを取れるアタックにチャレンジしている」と知念。ボールキャリーに長けた新戦力たちが躍動し、スペースが広がれば、パス回しも生きてくるだろう。
 
 ディレーニ―HCは「まずは自分たちのやり方でプレーすることが大事。自分たちの戦い方でぶつかっていきたい」と話した。開幕戦は花園近鉄ライナーズと対戦する。2季目の進化が問われる一戦となりそうだ。
 
(文・写真/杉浦泰介)