「NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」(リーグワン)の2023-24シーズンはディビジョン1(D1)のみならずD2、D3も9日、開幕する。D2は、NECグリーンロケッツ東葛(GR東葛)、レッドハリケーンズ大阪(RH大阪)、九州電力キューデンヴォルテクス(九州KV)が昇降格によって加わり、6チームで優勝を争う。D3は、日野レッドドルフィンズ(日野RD)と清水建設江東ブルーシャークス(江東BS)がD2から降格。5チームがD2昇格・返り咲きを狙う。
 
 浦安D-Rocks(浦安D)は今季もD2優勝候補だ。昨季はD2で順位決定戦を含めて全勝優勝しながら入れ替え戦で花園近鉄ライナーズに敗れ(2戦2敗)、昇格を逃した。キャプテンのSH飯沼蓮は「タフな状況となった時に、チームとしてひとつになれなかった」と反省点を挙げる。
「今年はチームとしてもコネクトを大事にし、細かいディテールを詰めている。細かいところでハドル(円陣)を組んでいます。ルーズボールのセービング、ゲインライン切られたら全力で帰陣する。そういう当たり前のことをリーダー陣が口うるさく言うようにしています」
 
 今季はオーストリア代表CTBサム・ケレビ、SO田村煕を東京サントリーサンゴリアスから獲得。飯沼は2人が加わった効果をこう語る。
「高いスタンダードのチームでやってきた。サムと煕さんはチームに足りないところも言ってくれるし、キャプテンの僕を支えてくれている。煕さんとは9番、10番として組むことが多いので、戦術面、ゲームコントロールなど勉強になるところがたくさんあります」
 
 GR東葛との“千葉ダービー”で開幕し、昨季果たせなかったD1昇格に再び挑む。「勝つべくてして勝つチームにならないといけない。オフ・ザ・ピッチの部分が疎かだと、周りからも認めてもらえず、誰も応援してくれないと思います。一から文化をつくっていきたい」と飯沼。オフ・ザ・フィールドのリーダーとしてLO/FL中島進護がクラブキャプテンに就任。若きキャプテンを支える。
 
 その浦安Dと浅からぬ因縁を持つのがRH大阪だ。リーグワン初年度はNTTドコモレッドハリケーンズ大阪としてD1に参戦したが、NTTグループのラグビーチーム再編に伴い、D3スタートを余儀なくされた。「会社からサポートは大きく変わっていない。ラグビーに打ち込める環境を提供していただいている」とはキャプテンのLO杉下暢。選手は大きく入れ替わったものの、昨季はD3制覇、D2昇格を果たした。
 
「今季の目標はまず上位3位に入り、順位決定戦に進むこと。そこに向けてみんなテンション上がっています」と杉下。浦安Dとの“NTTダービー”については「かつて味方だった選手たちと対戦するのは楽しみですね」と笑顔を見せる。チーム名から企業名を外し、地域色を濃くしたRH大阪。ジャージーの背面には連携協定を結んだ区名がプリントされている。野球、サッカーは国内リーグで関西勢が頂点に立った。大阪の風に乗り、旋風を吹かせるられるか。
 
 今季のリーグワンは各国のW杯戦士が続々と加入しているが、D3の江東BSにもサモア代表SOリア・ソポアンガがいる。オールブラックスとしても18キャップを持つソポアンガ。来日後は日本文化を楽しんでいる様子をSNSに投稿。キャプテンのLO/FL/No.8白子雄太郎は「オフフィールドでもナイスガイ。チームにいいカルチャーを伝えてくれています」と、その影響力を口にする。
 
 今季より監督と兼任となった仁木啓裕チームディレクター(TD)はソポアンガに加え、外国人選手のまとめ役であるCTBシアレ・ピウタウのキープレーヤーに推す。トンガ代表43キャップのピウタウは今季BKコーチも兼ねる。
「彼のキャプテンシー、チームへのコミットの仕方はお手本になる。シアレが言えば、他の選手も納得する」
 
 リーグワン初年度にD3で2位に入り、入れ替え戦を制してD2に昇格した。しかし昨季は「D2に昇格することを目標とし、その先のビジョンを描けていなかった」(仁木監督兼TD)、リーグ戦は3勝(不戦勝2)しかできず、6チーム中4位に終わった。順位決定戦で5位に落ち、入れ替え戦は九州KVに1勝1敗ながら勝ち点差で降格の憂き目に遭った。
 
「昨季は悔しい思いをした分、それをバネに変える。D2でも戦い抜ける力を付けようと話をしています」と白子。ひとまずD2返り咲きを誓う。
 
(文・写真/杉浦泰介)