16日、男子プロバスケットボールリーグ『B.LEAGUE』第12節初日が各地で行われた。東京 千葉・船橋アリーナでのサンロッカーズ渋谷が千葉ジェッツふなばしを延長の末、93-88で破った。

 

 SR渋谷・ギブス、23得点12リバウンドのダブルダブル(船橋アリーナ)

千葉ジェッツふなばし 88-93 サンロッカーズ渋谷

【第1Q】18-16【第2Q】20-26【第3Q】19-18【第4Q】20-17【OT1】11-16

 

 東地区3位の千葉Jと中地区5位のSR渋谷が対戦した。前者はギャビン・エドワーズら主力が抜けたものの、EASL(東アジアスーパーリーグ)と並行してのシーズンを11勝8敗。後者はジョシュ・ホーキンソン、田中大貴など大型補強を敢行したが8勝11敗と苦しんでいる。共に水曜日に試合を行い、中2日で連戦初戦を迎えた。

 
 先制したのは千葉J。11月に加入したゼイビア・クックスがフリースローを決めた。千葉Jのジョン・パトリックHCが「スイス・アーミーナイフ(スイス製の多機能ナイフ)のように何でもできる」と信頼を寄せるオールラウンダーはその後もスコアを重ね、第1Qだけで9得点を挙げた。
 
 対するSR渋谷も第2Qからジェフ・ギブズ、ホーキンソンを中心に反撃する。このQだけでフィールドゴール成功率68.8%(11/16)をマーク。26得点を挙げて、42-38とリードしてハーフタイムに入った。
 
 第3Qは前半2得点の千葉J・富樫勇樹が連続スリーポイントを決めるなど本領発揮。点差を詰めるが、SR渋谷もアンソニー・クレモンズが3本のスリーを沈めて突き放しにかかる。このQは千葉Jが19-18で点差をわずかながら縮めた。
 
 3点差で迎えた第4Q。クレモンズのスリーなどで一時7点差まで広げられたが、千葉Jが猛追する。大倉颯太の2本のスリーなどで2点差に。残り11秒、富樫のアシストからジョン・ムーニーが両手でリングに叩き込み、77-77と追い付いた。オーバータイム(決着がつくまで5分間の延長)に突入し、船橋アリーナのブースターは大いに沸いた。
 
 ここでSR渋谷はクレモンズがスコアを伸ばし、優位に立つ。残り2分半を切ったところでベンドラメ礼生がバスケットカウントでフリースローも決める3点プレー。膠着状態から抜け出し、4点差に広げた。その後も千葉Jに2点差までは詰められたもののホーキンソン、ギブスが得点を決め勝負は決した。
 
 SR渋谷のルカ・パヴィチェヴィッチHCは「難しい試合を千葉Jのホームで勝ち切ったことを素晴らしく思う」と試合を総括し、「速い展開になることを予想していた。どこに千葉の穴があるのかを探ってきた。選手にそれを伝え、遂行させることができた」と振り返った。「オーバータイムは避けたかった。追いつかれる直前のオフェンスは、正しく正確にしなければいけなかった。そこはまだまだ良くなっていかなければいけないところ。ただ、そこでネガティブにならず戦えたことはポジティブだと思う」と語った。
 
 若手の成長がカギ
 

 敗れたパトリックHCは「向こうは水曜日に天皇杯(全日本選手権大会予選)の負けた後でモチベーションが高かった。ウチはスロースタートだった。接戦の中で、3対1のファストブレイクでルーズなターンオーバーでスリーポイントを決められた。そこでウチの流れをストップさせられた。ただオーバータイムに持ち込めたのはいいこと」とコメント。依然としてEASLと並行するタフな日程は続く。

 

「健康には良くないが、みんなで楽しい経験ができている。EASLに対するモチベーションが高い。プレータイムをシェアできればいいけど……」とケガ人が続出していることもあり、苦しい台所事情。指揮官は「今季のテーマはrebuild(再建)。若い選手が経験をするのはいいこと。成長のチャンスだと思います」と前を向いた。

 

 若手の中でこの日、目立ったのがシーズンハイとなる36分22秒コートに立った大倉だ。3本のスリーを含む13得点、4アシスト1スティールを記録した。千葉J加入後、2度の大ケガを乗り越え、今季はプレータイムを増やしている。「いいところもあったかと思いますが、悪いところに目を向けて直さないといけない。負けている時点で、僕がやられたところもあり、ターンオーバーもあったので、そういったミスを減らしていけなければいけない」と反省点を挙げる。24歳の司令塔は「年齢的には若いですが、コートに立てば何も変わらない。“若いから”だけを理由に許されることも、評価されることもない。一人前以上の責任を持ってやるべきだと思っています」と話した。

 

 パトリックHCの大倉評はこうだ。
「彼は頭を使ってプレーするタイプ。ゲームメイク、プレーコールしてボールを展開させてくれる。もっとオープンシュートを狙ってもいいと思うこともあるが、去年大きなケガがあって戻ってきたばかり。それに全員が自分が打つ役割と思ったら、ボールが回らない。彼や(西村)文男の存在はありがたい」

 

 大倉は、この日土壇場で追いつきながら敗れたことに対し、「こういうゲームを勝ち切らないといけない」と唇を噛む。プレー同様、冷静に状況を見つめている。千葉Jが上昇気流に乗るためには、20歳の金近廉、22歳の小川麻斗ら若手の成長は不可欠。チームをブーストさせる存在となれるか。

 

(文・写真/杉浦泰介)
 

BS11では動画配信サービス『U-NEXT』が配信しているスポーツコンテンツからイチ押し映像をコンパクトに切り取ってお届けする情報番組「ワールドスポーツCLIP! Supported by U-NEXT」を毎週木曜日に放送中。番組では千葉J、琉球ゴールデンキングスのEASLでの奮闘ぶりも紹介しています。

 

>>番組の詳細はこちら