「NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24」第2節最終日が17日に行われ、東芝ブレイブルーパス東京が東京サントリーサンゴリアスを26-19で破った。“府中ダービー”を制し、3トライ差以上のボーナスポイントも得たブレイブルーパスは2連勝。サンゴリアスは開幕2連勝を逃したものの、7点差以内の敗戦でボーナスポイント1を獲得した。またこの試合の観客数3万1953人はリーグワン・レギュラーシーズン最多記録(従来の記録は16日に行われた横浜キヤノンイーグルスvs.トヨタヴェルブリッツ戦の3万1312人)を塗り替えた。

 

 開幕戦白星スタートとなった両チームによる“ダービー”は、寒空の下、白熱した。

 

 先制はサンゴリアスだ。前半9分、2試合連続スタメンのSO髙本幹也がPGを決めた。開幕節はプレースキックで6本のコンバージョンキックを成功。この日も23歳の左足がゴールポストの間を射抜く。

 

 ジャパンの次代を担うSOが活躍すれば、ブレイブルーパスの10も黙ってはいない。11分、モウンガは敵陣深くのスクラムからSH杉山優平のパスを受けると、WTB桑山淳生にオフロードパス。桑山の2試合連続トライを演出した。コンバージョンキックを成功し、7-3と逆転に成功する。16分に再び髙本にPGを決められ、1点差に迫られた。

 

 22分、モウンガは右サイドへアウトサイド気味のキックパスで、大外のWTBジョネ・ナイカブラにボールを渡す。ナイカブラは前方に蹴り、FBチェスリン・コルビをかわすと、WTB松島幸太朗とのボール争奪戦を制し、インゴール右隅にグラウンディング。桑山に続き、ナイカブラも2試合連続のトライだ。

 

 BK陣の奮闘に続き、FW陣がフィジカルバトルを見せる。31分、自陣から突破を図るNo.8サム・ケインをFL佐々木剛、No.8リーチマイケルら3人がかかりで止める。こぼれたボールをHO原田衛が拾い、PR木村星南が抜け出してインゴール中央に飛び込んだ。モウンガがコンバージョンを決め、19-6とリードを広げる。

 

 サンゴリアスも意地を見せる。敵陣で素早いパス交換。最後は松島の飛ばしパスを、右サイドで受け取ったWTB尾﨑晟也がモウンガのタックルを外し、前方に飛び込みながらインゴールに叩き込んだ。難しい角度のコンバージョンを髙本が決め、13-19で前半を終えると、後半11分に髙本のPGで3点差に詰めた。

 

 すると17分、ブレイブルーパスがスコアを動かす。FWを中心に近場近場で、インゴールににじり寄る。FLシャノン・フリゼルがねじ込むようにグラウンディング。モウンガのコンバージョンで10点差とした。ブレイブルーパスは35分にPGで7点差まで縮められたものの、それ以上の得点は許さなかった。府中のライバル相手に合計4トライ奪い、被トライは1に抑えた。前節に続き、3トライ差によるボーナスポイントを獲得しての勝利を挙げた。

 

 試合後、トッド・ブラックアダーHCは「ペナルティーを与え過ぎた」と反省点も挙げつつも選手たちを称えた。
「素晴らしい試合だったと思います。自分たちやサントリーにとってすごく大事な試合。リーチをはじめ、チームを誇りに思います。一番誇りに感じた点はフィールド上でチームメートがお互いのためにハードワークしていた姿です。ラインアウト、スクラム、セットピース、そしてブレイクダウン。それらをしっかりとやり切ることができた」
 
 リーチも「後半の入りと規律の部分は反省点」としたが「サントリーはスタイルがはっきりしていて、テンポのチーム。接点で止めること、左右に展開していくことに関してはよく対応できたと思います」と振り返ったようにフィジカルバトルを制し、相手をリズムに乗せなかった。原田は「僕らの強みであるフィジカルで負けずに退かなかった。1人目、2人目がブレイクダウンでファイトすることができたのがいいディフェンスの要因」と胸を張った。
 
 この日、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたモウンガは、キックを使いながら巧みにゲームコントロールした。「彼からは『常に狙ってくれ』と言われている」とはフィニッシャー役のナイカブラ。両翼のトライを演出したように、連係も深まっている。2試合連続でスタートからハーフ団を組む杉山も「彼はボールを持ちたいタイプなのでパスを回すタイプの僕とは合っている」と語っており、実戦3試合目ながらチームへのフィット具合も問題が見られない。
 
「引き出しが非常に多く、キックもいいし、フィジカルもあって、スピードもあって、判断力もある。自分で何でもできる選手ですが、もっとチームに対して要求してほしい」とリーチ。王座奪還のキーはモウンガやフリゼルはいい化学変化を起こせるかどうか。次節は兵庫・ノエスタ神戸でのコベルコ神戸スティーラーズ戦。LOブロディ・レタリック、No.8アーディー・サベアが加わり、ブレイブルーパスと同じく開幕2連勝中だ。どちらも世界的ビッグネームを要する強豪を下し、リーグ戦無敗で年を越すことができるのか。
 

(文・写真/杉浦泰介)