第201回 日本サッカー、30年の歩み

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 早いものでもう年の瀬です。びっくりしますね。WBCでは侍ジャパンが世界一を獲ったのも今年の春ですか。夏にはなでしこジャパンがオーストラリア・ニュージーランドW杯でベスト8に進出しました。時間の経過は年々、早くなっているような気がします。

 

 新年早々、日本代表が元日に初めて親善試合を行います。対戦相手はタイ代表です。天皇杯決勝は年内に開催するのが当たり前になりつつあるのでしょうか? 「天皇杯の決勝を元日から動かすなよ」と思う僕です。正月の風物詩の1つだったものですから、ちょっと寂しさが込み上げます。実際、プレーしていた身としては年内に決勝を消化してしまうのは味気ないですね。

 

 とはいえ、日本代表としては1月中旬から始まるアジアカップの前に調整できる機会を設けられた意味合いは大きいでしょう。ぶっつけ本番でアジアカップの舞台となるカタールに乗り込むのではなく、1回日本に集まって練習ですり合わせができます。タイ戦は攻撃的に行ってほしいですね。どうビルドアップするのか、どう相手の守備陣形を崩すのか。しっかりと狙いをもち、意図のある攻撃を展開してもらいたいものです。

 

 アジアカップのメンバーはタイとの親善試合の出来を見てから決めるそうですから、オフに入っていたJリーガーたちもしっかりと各自、コンディションを整えてくるでしょう。そもそも、オフはずーっと休んでいる選手も少ないのではないでしょうか。1シーズンで出た課題や反省点をもとに、「自分の体をどうしたいか」を考え、既にトレーニングをしているかと思います。動けない、走れないという心配はさほどないんじゃないのかなと僕は思います。

 

 今年の日本代表の活動を振り返ると、カタールW杯でドイツやスペインを倒し、森保ジャパン2期目に入りました。初戦こそ躓いたものの、アウェーでドイツに大勝するなど相当な進歩を見せてくれました。今年はJリーグ創設30周年でした。この30年の子どもたちへの指導や育成方針は間違っていなかったんだ、と思えた年でした。来年も日本代位評が世界と伍して戦う姿を期待したいです。

 

 さてさて、来年1月7日~8日にかけてJFAシニアフェスティバルin千葉(第3回千葉県高校サッカー部OB交流フェスティバル)が開催されます。僕は今年も参戦します。7日はオーバー50と60部門、8日はオーバー40部門の日取りです。第1回は約400名、今年は約700名、3回目となる今回は1000名を超えるという情報が入ってきました。オーバー40のエントリーチームが激増しているようです。シニアサッカーが広がるのは嬉しいことですし、サッカーが生涯スポーツ化しつつあるのが嬉しいですね。

 

 大事な大会が1月頭に控えているのにも関わらず、12月はバタバタと忙しくなかなか体を動かす機会をつくれていないのが個人的に気掛かりです。とりあえず、30日に母校である習志野高校OB会で蹴り納めがあるので、そこで感覚を掴んで1月7日に臨もうと思います。

 

 読者のみなさん、今年も僕のコラムにお付き合いいただき、誠にありがとうございました。来年も「ZAGUEIROの眼」をよろしくお願いします。それでは、みなさん、よいお年をお迎えください。

 

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)

<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザの総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。

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