サッカー・AFCアジアカップ(カタール)グループD初戦の日本代表対ベトナム代表戦が14日、アルトゥマーマで行われ日本が4対2で勝利した。前半11分にMF南野拓実(モナコ)の得点で日本が先制した。ベトナムに11分、33分と得点を許し一時逆転されるが、45分に南野の2点目で同点に追いつき、前半アディショナルタイムにMF中村敬斗(ランス)のゴールで日本がリードして試合を折り返す。後半40分にFW上田綺世(フェイエノールト)がダメを押して日本が白星発進した。

 

 南野、守備でも貢献(アルトゥマーマ)

 日本代表 4-2 ベトナム代表

【得点】

[日] 南野拓実(11分、45分)、中村敬斗(45+4分)、上田綺世(85分)

[ベ] グエン・ディン・バク(16分)、ファム・トゥアン・ハイ(33分)

 

 ベトナムの指揮官は2002年日韓ワールドカップで日本の指揮を執っていたフィリップ・トルシエだった。5-4-1の布陣を敷きながらも、ビルドアップの場面やセットプレーの“仕掛け”はお見事だった。

 

 スコアが動いたのは前半11分だった。日本の左コーナーキックのこぼれ球をエリア外右サイドからDF菅原由勢(AZ)がミドルを狙う。これは相手DFに当たったが、エリア内左で拾った南野が右足で冷静に流し込み日本が先制した。

 

 ところが、である。日本先制から5分後、ベトナムの左コーナーキックからニアでFWグエン・ディン・バクにバックヘッドから合わされて、これが日本ゴールにすっぽりと吸い込まれた。さらに33分、自陣でベトナムにFKを与える。これをファーサイドに振られ、DFブイ・ホアン・ベト・アインがヘディングで中に折り返す。GK鈴木彩艶(シントトロイデン)が右手ではじくが、このこぼれ球をFWファム・トゥアン・ハイに右足アウトサイドで押し込まれた。しっかりとデザインされたセットプレーを披露された。

 

 流れがベトナムに行きかけた45分。MF遠藤航(リバプール)からエリア内で縦パスを受けた南野が冷静に右足インサイドでゴール右サイドネットを揺らし、日本が同点に追いついた。ハーフタイムに入る前に日本は追加点を狙いに積極的に走った。するとアディショナルタイム5分、中村が左サイドから得意のカットインで中に切れ込み、相手DF2人をかわす。一瞬、シュートコースが空いたのを見逃さなかったこのドリブラーは左45度の角度から右足を一閃。美しい弧を描いたシュートは相手GKの手が届かないゴール右に突き刺さり、日本が逆転に成功した。

 

 後半に入ると、日本は4-2-3-1から4-3-3に変更した。遠藤をアンカーに置き、南野とMF守田英正(スポルティング)がインサイドハーフを担った。ワントップにはFW細谷真大(柏レイソル)に変えて上田が入った。

 

 1点リードしていたこともあり、日本は無理をしなかった。試合の見せ場は限られたが初戦で勝ち点3を取りに行くことを徹底していた。このままのスコアで終えるかと思った40分。遠藤、MF堂安律(フライブルク)、MF久保建英(レアルソシエダ)、上田とボールが渡る。上田は一人かわし、思い切りよく右足を振りぬくと、強烈なシュートがゴールネットに突き刺さり、試合を決定づけた。

 

 初戦に勝利した日本は中4日でイラク代表(19日)と対戦する。

 

(文/大木雄貴)