12日、ボストン・レッドソックスとシアトル・マリナーズ戦がレッドソックスのホーム、フェンウェイパークで行われた。注目の日本人対決、レッドソックス・松坂大輔とマリナーズ・イチローの対戦は4打数ノーヒットと松坂に軍配が上がった。ところがレッドソックスは0−3と完封負け。松坂はメジャー初黒星を喫した。
 36630人。注目の対決を見ようと集まったファンの数は球場史上2番目に多い数字だった。無数のフラッシュを浴びながら、先発として初めて本拠地のマウンドを踏みしめた松坂。いつもと変わらぬ動作でゆっくり打席に入ったイチロー。注目の初対決はプレイボールとともに始まった。

 初球はカーブが決まりストライク。2球目も内角の変化球でファウルを打たせてカウント2−0と追い込む。3球目以降も松坂は内を突く投球をみせるが、イチローはしっかり見逃してフルカウントに持ち込む。
 第6球は初めて外角に投じるストレート。これをイチローがひっかけ、投手の左横を襲う。松坂は反応よく腕を伸ばして、これをキャッチ。7年ぶりの対決は投ゴロに終わった。

 第2打席は3回に訪れた。一転して今度はストレート勝負。初球、内角にストレートをみせ、2球目も直球で押す。コースはやや高めに甘く入ったが、イチローが打ち損じてセンターフライに倒れる。
 3回目の対決は5回、カットボールでカウントを整え、2−2からの勝負球はフォークボール。ワンバウンドしたボールにイチローのバットはあえなく空を切った。

 そしてこの日、最後の対決は7回無死一塁の場面でやってきた。初球はイチローの顔付近へのストレート。イチローはのけぞって避ける。これが効いたのかカウント1−2から外角のボールをイチローが引っかけて打球はセカンドへ。ボールは二塁に転送され、一塁走者が封殺された。

 4打数ノーヒット。イチローとの対決に“完勝”した松坂だったが、試合はマリナーズの“完勝”だった。2回、1死1塁から「7番・捕手」でスタメン出場のマリナーズ・城島健司がスライダーを引っ張って、レフトのフェンスに当たる二塁打。チャンスを拡大すると、続くユニエスキー・ベタンコートの犠飛でマリナーズが1点を先制する。

 マリナーズは5回にも2番エイドリアン・ベルトレ、3番ホセ・ビドロがいずれもスライダーを捉えて連続タイムリー。2点を追加し、3−0とリードを広げる。6回は得点に結びつかなかったが、城島がカットボールを捉えてレフト線へ二塁打。3打数2安打で松坂との対決を制した。

 一方、マリナーズの先発フェリックス・ヘルナンデスが昨夜14得点と爆発したレッドソックス打線を、7回まで無安打に抑える好投をみせる。結局、ヘルナンデスは1安打完封勝利。松坂は7回103球でマウンドを降り、被安打8の3失点で敗戦投手となった。

 レッドソックスとマリナーズの次回の対戦は6月26〜28日に今度はマリナーズの本拠地セーフコフィールドで行われる。3連戦中に松坂の登板があるかどうかは未定だが、イチローは日本での初対決では3三振を喫したあと、2回目の対戦ではタイムリーを含む3打数1安打ときっちり“お返し”している。
 はたしてメジャーに舞台を移した怪物と天才の第2Rはどんな結果になるのか。名勝負の続きを心待ちにしたい。 

松坂、試合後のコメント
(イチローとの対決は)意識しすぎてはダメだと思ったが、日本にいたときから、打ち取りたいという気持ちは強かった。
(第1打席の初球は捕手の)バリテックと「ストレートは狙ってくるだろう」と話をした。(ストレートで)ボールでもいいと思ったが、やはりストライクが取れた方が有利なので、(変化球を)選択した。

 ヘルナンデス、1安打完封
シアトル・マリナーズ   3 = 010020000
ボストン・レッドソックス  0 = 000000000
勝利投手 ヘルナンデス(2勝0敗)
敗戦投手 松坂(1勝1敗)

【イチロー成績】
 5打数0安打
第1打席 投ゴロ
第2打席 中飛
第3打席 空振三振
第4打席 二ゴロ
第5打席 中飛

【城島成績】
 3打数2安打
第1打席 左二塁打
第2打席 三ゴロ
第3打席 左二塁打
第4打席 四球


<岩村、開幕8試合連続安打>

 タンパベイ・デビルレイズの岩村明憲は12日、テキサス・レンジャーズ戦に「6番・サード」で先発出場。2回の第1打席でショートの頭上を越えるレフト前ヒットを放つ。
 この日の岩村のヒットは第1打席の1本のみだったが、開幕8試合ですべて安打をマークし、日本人ルーキーとしては03年のヤンキース・松井秀喜の7試合を抜く最多記録となった。

 試合は2回、岩村が直後に盗塁を決めて、ディオナー・ナバロ捕手のタイムリーでデビルレイズが勝ち越し。3回にもソロ本塁打や岩村の内野ゴロの間に4点を追加し、6−1とリードを広げる。後半にレンジャーズの反撃を受けたものの、6−5で逃げ切り、デビルレイズは連敗を4でストップさせた。

 岩村、勝ち越しのホーム踏む
タンパベイ・デビルレイズ  6 = 114000000
テキサス・レンジャーズ   5 = 100004000
勝利投手 シールズ(1勝0敗)
敗戦投手 テヘダ(1勝1敗)
セーブ   レイエス(2S)
本塁打   (デ)ゾブリスト1号ソロ
       (レ)ヤング1号ソロ、キンスラー4号ソロ、ヤング2号3ラン

【岩村成績】
 3打数1安打1打点 1盗塁
第1打席 左前安打
第2打席 一ゴロ 1打点
第3打席 四球
第4打席 空振三振
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