サッカー・アジアカップ準々決勝、日本代表対イラン代表戦が3日、エデュケーションシティ・スタジアムで行われ、1対2で敗れた。試合は前半28分にMF守田英正(スポルティング)の得点で日本が先制した。しかし、後半10分にFWモハマド・モヘビ、後半終了間際にMFアリレザ・ジャハンバフシュにPKを決められた。

 

 ベンチワークで負けた試合(エデュケーションシティ)

日本代表 12 イラン代表

【得点】

[日] 守田英正(28分)

[イ] モハマド・モヘビ(55分)、アリレザ・ジャハンバフシュ(90+6分)

 

 4バックにこだわったのはなぜなのか。相手の前からの強いプレスをかいくぐるには至らなかったのが苦しかった。こちらからわざわざ相手の守備網にはまりにいっていたようにしか思えない布陣だった。この試合、相手のプレスを回避したいなら、4枚にこだわる必要はあったのか。

 

 先制したのは日本だった。前半28分、左サイドの守田がセンターフォワードの上田綺世(フェイエノールト)にボールを預ける。相手DFを背負いながら、ボールをキープし、近寄った守田に落とす。ドリブルでペナルティーエリア内に侵入し、切り込んだ守田はシュートを放つ。ボールは相手GKの足をはじき、ゴールラインを割り、待望の先制点を日本が決めた。

 

 しかし、ここから、イランペースに巻き込まれる。こちらの4バックに対し、イランは前線を4枚横並びにして当ててきた。対角線のロングボールを多用し、陣形が横にも縦にも間延びしたような状況が生まれる。するとピッチ上で1対1の場面が多くなり、フィジカル勝負に持ち込まれ、日本は分が悪かった。

 

 後半10分、相手のセンターフォワード・アズムンのポストプレーからモヘビが抜け出し、ゴールネットを揺らされた。依然としてマンツーマンの状況を意図的に作られ、日本の良さが生かされない中、DF板倉滉(ボルシアMG)とDF冨安健洋(アーセナル)がかぶったところのルーズボールをDFホセイン・カナーニに拾われる。このカナーニを板倉がカニばさみに近いかたちで倒してしまう。判定はPK。これをジャハンバフシュに冷静に決められて、日本は準々決勝で涙をのんだ。

 

 この試合、間延びした状況にお付き合いせざるを得なかったベンチワークで負けた感が否めない。ボールサイドと反対のサイドは思い切って捨てるといった判断があってもよかったように思う。また、ビルドアップの際もボールホルダーに対して角度が作れず、前進させることができなかった。5バック(3バック)にすれば、角度がつきやすくなり、多少はビルドアップがスムーズにいったように映った。

 

 若いGKの鈴木彩艶(シントトロイデン)が健闘しただけに、ここで日本が姿を消すのは将来的にかなり痛手だといえよう。

 

(文/大木雄貴)