パリ五輪アジア最終予選・女子日本代表(なでしこジャパン)対女子北朝鮮代表の一戦が24日、サウジアラビア・ジッダで行われ、スコアレスドローだった。次節は28日、東京・国立競技場で行われる。

 

 スタメンの配置は“謎采配”(ジッダ)

なでしこ 0-0 女子北朝鮮

 

 開催地が決まらずに話がこじれにこじれ、結局は中立地サウジアラビア開催となった。ただ、今回のドローは直前に開催地が決まったこととは関係があるとは少々、言い難い内容だった。試合開始からの選手配置に疑問があった。時計の針が進むにつれて、なでしこだけの足が止まるなら少しは「直前にサウジアラビア開催が決まったせいだと」いえたのかもしれないが……。

 

 なでしこジャパンは4-3-3で臨んだ。対する北朝鮮は5-4-1だった。なでしこの3トップの初期配置は左ウイングにFW田中美南(INAC神戸)、右ウイングにFW藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、センターフォワードにFW植木理子(ウエストハム・ウィメン)だったが左の田中とコロコロと入れ替わる。中央で時間を作れる田中がサイドに押しやられることが何より不可解だった。

 

 さらに言えば、なでしこの右サイドバックがDF清水梨紗(ウエストハム・ウィメン)、左サイドバックがDF古賀塔子(フェイエノールト・ヴロウウェン)だ。スプリントができ、高い位置でワイドな位置を張るのが得意なのは明らかに清水だろう。縦の兼ね合い的に右ウイングに田中を使い、攻撃時に可変システムで中に入らせるならまだ理解できるが、なでしこはDFとFWの縦関係がかなり嚙み合わせの悪いシステムでスタートしたことが、今回の全てだったといっていい。

 

 池田太監督は前半30分過ぎに植木と田中の位置を入れ替えたものの、サイドの守備に追われていた田中は体力を消耗。厳しい言い方になるが、無駄な時間と労力を使ったかたちになってしまった。

 

 この後も、右の藤野と左の植木をそのままに時間が過ぎた。

 

 後半に入り、13分だった。左ウイングのスペシャリスト・中嶋淑乃がピッチに投入された。縦に仕掛け、相手DFのまた抜きを狙い守備網を崩すなどの勢いがやっと見られた。スタートメンバーで試みたようにストライカータイプを2人置きたい気持ちは存分にわかる。それならば、わかりやすく4-4-2など2トップに布陣を組むべきだろう。そうでなければ、生粋のウインガータイプの中嶋を最初から置いておくべきではないか。

 

 北朝鮮は1トップを前線に残してのカウンターがメイン戦術だった。中盤の底にMF熊谷紗希(ローマ・ウィメン)を立たせる有用性も見つけにくかった。これならば、思い切って熊谷を外すか、センターバックの一角での起用でもよかった。守備面でそつはないものの、攻撃面ではあまりにもセーフティー過ぎる配球が日本のチャンスの芽をつぶしていた。

 

 28分にはFWキム・キョンヨンのヘディングシュートがクロスバーに当たった。格下相手にバーに助けられた試合だった。

 

 次節は28日、東京・国立競技場で行われる。開催地が直前に決まり、なでしこの欧州組は無駄足を踏むなどしたが、今回は監督の采配により苦しんだというべきだろう。ホームでは適材適所の采配を期待したものだ。

 

(文/大木雄貴)