大ベテランの先発投手か、中堅のリリーフ投手か。どちらの選択が正解だったか、それはシーズン後でなければわからない。いや、数年後に判断すべきものかもしれない。いずれにしても、ミソをつけたのは人的補償を行う側の球団だった。

 

 

<この原稿は2024年2月5日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 

 埼玉西武は国内FA権を行使して福岡ソフトバンクに移籍した山川穂高の人的補償として、甲斐野央の獲得を決めた。

 

 1月11日付けの日刊スポーツの1面に<山川 人的補償 和田>との見出しが躍っただけに、これにはびっくりした。いったい何があったのか。和田とは日米通算163勝のレジェンドサウスポー和田毅のことだ。

 

 これにより、和田の“プロテクト漏れ”が明らかになった。

 

 人的補償は、相手球団の全ての選手が対象ではない。①プロテクトした28人の選手②FA権規約により外国人枠の適用外になった選手を含む外国人選手③直近のドラフトで獲得した新人選手④育成契約選手――については、獲得することができない。和田の場合、球団が保護する28人の中に入っていなかったというわけだ。

 

 現在、42歳。残りの現役生活を考えれば、ソフトバンクが和田を28人の枠から外した判断もわからないではない。年俸も2億円と安くはない。だが、和田はただのベテランではない。NPBではホークス一筋。投手陣の精神的支柱でもある。

 

「プロテクト枠から外れたことは、本人はもちろん、他のピッチャーにも少なからずショックを与えたはず。球団と選手がギクシャクしなければいいが……」(球団OB)

 

 不思議なのは、今季から指揮を執る小久保裕紀が、「開幕ローテは伝えてある。“何があっても、そこ(開幕)に間に合わせてくれ”と言ってある」と前もって和田に伝えていたことだ。

 

 そうであれば、小久保にはプロテクト枠に関する正確な情報が入っていなかったことになる。いくら、プロテクト枠の人選はフロントマターとは言え、風通しの悪さが気になる。雨降って地固まる、となればいいが……。

 


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