「あのぉ、もしかして僕があんなメール送ったからなんでしょうか・・・」
そうだよ、君が言いだしっぺなんだよ、岡本君。
我がチームに入部するために、昨年仕事を辞め、長野から埼玉へ移住した(おそらくチームで一番思い切ったことをしている人物)岡本君からメールがあったのは練習試合が行われる数日前。
『土曜日、もし雨が降ったら室内で練習です』という私のメールに、 『雨が降らなかったら、練習試合の後、室内で練習したいんですけど』との返信。
(写真:ノックをする安藤コーチ) 無理ではない話かもしれない。それにしても、「9:30〜13:00練習試合(久喜)→14:00〜19:00練習(所沢)」は強行スケジュールではないか。
私の独断で「無理だよ〜」とは言えない。しかしこのスケジュールはまるで罰ゲーム。選手も引いてしまうのではないか。
「試合の後、練習したいっていう選手がいるんですけど」と監督に聞いてみた。
「やったらええやん」
即決。
『試合の後練習来る人何人いますか?』
『行きます!』の返信ラッシュ。私用でこられないのはたった2人だけだった。
当日、雨は降らなかった。
新チームになって初めての練習試合は、“打者一巡”を2回もやられる惨敗ぶり。
昨年までなら、諦めムードが漂うところだが、今回は最後まで粘った。大差をつけられているのに、最終回に出た言葉は「負けたくない」。結局負けてしまったが、最終回に5点を返した。
大差をつけられた試合だったので、疲れも倍化したに違いない。みんなで車に分乗し、久喜から所沢へ向かった。
途中で工事渋滞にはまったり、高速道路の出口を間違えてまるで違う方向へ向かってしまう選手もいた。
「すいません! 反対方向に出ちゃったんですけど」
「今どこ?」
「三郷です」
「なぜに三郷・・・。一緒に車に乗ってるの誰?」
「永岡君と末永君です。全員で、出口はここしかない! って確信して出たんです」
「君の激しい方向音痴を助長するメンバーを車に乗っけちゃってるもん」(このあとこの車は、地元人ならではの裏道を活用したのか、驚異の追い上げをみせました)
時間通りに練習場についたのは数人。強行スケジュールなので昼食を取る時間もありません。空腹に耐えられず「ドライブスルーに寄って!」と何度言いそうになったことか。
疲れと空腹で元気が無いかと思ったが、みんな元気に練習を開始した。試合を放り出さず、5点を返した最終回の攻撃が、気持ちをプラスの方向に向かせてくれているのかもしれない。
試合後「じゃ、帰るわ」と言って私たちをかなり焦らせたコーチも、誰よりも先に練習場に到着していた。
監督・コーチの気持ちも、選手の意気込みも、痛いほど伝わってくる。まずは勝利が欲しい。そんな私たちを天は見捨てていなかった。
先週行われた、今年初の公式戦の組み合わせ抽選会。なんと1回戦不戦勝枠! 小さい神様が降りてきた! 4回勝ったら優勝! 本気でワクワクしてきました!
公式戦で、もっと大きな神様が降りてくるように、まずは今週の練習試合で勝利して、神様の受け皿を作りたいと思います。
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「二宮清純.com」では、このコーナーのコラムをHPに先行して配信中です。紅一点の女子部員の奮闘ぶりを一足早く携帯でお楽しみいただけます。更新は第1、3火曜。ぜひ、チェックしてみてください。
広瀬明佳(ひろせ・さやか)福島県郡山市出身。母がソフトボール、兄が野球をやっていたことから中学・高校時代ソフトボール部に所属。大学時代軟式野球サークル。前職での仕事をきっかけに初めて硬式野球の道へ。現在、埼玉県内の硬式野球クラブチームに所属。チームの紅一点として奮闘中!
(このコーナーは毎週第1・3木曜日に更新いたします)
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