「今日負けたら解散な」
 試合前のミーティング。その言葉のずっしりとした重みを受け止め、選手全員がコーチの目を見据えます。「解散」は絶対冗談ではない・・・昨年から在籍するメンバーは特に、この言葉を重く受け止めたはずです。
(写真:試合前のミーティング)
 試合前のシートノックは、相手の戦力を測るひとつのものさし。先にシートノックをやらせてもらったのは先攻の私たち。相手に隙を見られては意味がない。声を出し合い、ほぼノーミスで終えました。

 次にシートノックに入った相手チームを、キャッチボールや素振りをしながら見ます。そのシートノックを終えた後のコーチの言葉が、「今日負けたら解散な」。負けてはいけない相手のレベルでした。

 試合開始。相手チームのピッチャーは、おそらく高校3年生。いい球を投げ込んできます。しかし今年は打線に火がつくのが早い。2回に2点を先制。コンスタントに得点を重ね、6回以降はキャッチャー以外の先発選手を総交代して選手全員を試合に出せる余裕もありました。

 試合終盤、大差でリードし、緩んだ雰囲気になりそうなとき、ベンチにいた選手を一列に並んで座らせ、監督が言いました。
 「いいか、相手のペースに巻き込まれるな。今、大差で勝っているけれども、自分たちの目指す野球はこのレベルじゃない。こういうときこそ自分のペースを保て」
 この言葉で、チーム全体が、変に勝ちを意識せず、最後まで試合に集中できました。

 試合開始から4時間後、13対5で勝利。2005年12月17日の創部から1年3ヶ月で初勝利を手にしました。

 しかし全く嬉しくありません。「今日が初勝利ねぇ・・・」選手からも嬉しそうな表情は伺えません。間延びした試合に勝利しても、嬉しさはないのだと、改めて思いました。

 課題も多くありました。満塁のチャンスを得点に結び付けられなかったり、走塁ミスもありました。ワンチャンスを確実ものにできる力がもっとあれば、20点は取れていたはずです。相手に与えた5点も、もっと抑えられたはずです。

 次は25日の公式戦。次の勝利が本当の初勝利だと思って臨みます。絶対に良い報告をしたいと思います!


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広瀬明佳(ひろせ・さやか)
福島県郡山市出身。母がソフトボール、兄が野球をやっていたことから中学・高校時代ソフトボール部に所属。大学時代軟式野球サークル。前職での仕事をきっかけに初めて硬式野球の道へ。現在、埼玉県内の硬式野球クラブチームに所属。チームの紅一点として奮闘中!

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