「NTTジャパン ラグビー リーグワン2023-24」ディビジョン1第7節が27日に行われ、コベルコ神戸スティーラーズがリコーブラックラムズ東京を27-17で破った。スティーラーズは2連勝で4勝3敗(勝ち点19)、ブラックラムズは3連敗で1勝6敗(同7)となった。

 

 クロスボーダーラグビー明けの第7節、約1カ月試合のなかったチーム同士の対決だ。前節は横浜キヤノンイーグルスと接戦を制したスティーラーズと、クボタスピアーズ船橋・東京ベイに逆転負けしたブラックラムズ。舞台はブラックラムズのホストジアム、東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場だ。

 

 小雨がパラつき、凍えるような寒さのコンディション。先制したのはスティーラーズだった。12分、ラインアウトからSOブリン・ガットランドがスペースを狙ってショートパント。真っ先に落下点に入ったブラックラムズWTB西川大輔が足を滑らせると、CTBナニ・ラウマペがボールを拾い、そのままインゴールへ滑り込んだ。ガットランドがコンバージョンキックを決め、7-0でスティーラーズがリードを奪う。

 

 ホストスタジアムで連敗を止めたいブラックラムズも反撃する。PGで3点を取り合った後、敵陣に侵入し、右サイドでラインアウトを獲得。低く組んだモールでインゴールまで押し込んだ。No.8ネイサン・ヒューズのトライ、FBマット・マッガーンのコンバージョンキックで同点に追いつき、ハーフタイムを迎えた。

 

 3分、雨でスリッピーなボールのせいか、ブラックラムズのパスが乱れる。ここでスティーラーズのWTB松永寛汰が転がるボールを前方に蹴り出す。そのままスピードを生かして楕円球を追いかける。インゴールでグラウンディングしようとする直前、西川に阻止された。ここで滑川剛人レフリーがペナルティトライを宣告し、西川にイエローカードを提示した。

 

 ガットランドのPGで10点差に広げたスティーラーズだったが、23分にラインアウトモールからトライを奪われるなど3点差に詰められた。すると26分、ガットランドに代わってCTBのポジションからSOに移していた李承信が魅せる。22mライン手前の位置、左中間でSH日和佐篤からパスを受けると、右サイドにキックパスを送る。

 

 大外で張っていたWTB山下楽平はタッチライン際で跳ねたボールを右手で掴むと、そのままインゴール右隅に飛び込んだ。勝負をグイッと手繰り寄せるようなトライを演出した李は「今日、雨が降って、風が強い中でキックゲームが大事なるという話もあった。スコアに繋げることができて良かった」と語った。コンバージョンキックも決めて再びリードを10点差に広げた。スティーラーズはブラックラムズのアタックに耐え、そのままのスコアで逃げ切った。

 

 スティーラーズのデイブ・レニーHCは試合後、「難しい天候だったので、本来の自分たちのプレーよりもキックが多かった」と振り返った。

「それでも多くの時間、しっかりと良いディフェンスができたと思い、テリトリーでドミネートすることができた。プレッシャーをポイント(得点)に変えられないこともあったが、今日は勝利を収められたので良かった」

 

 昨季は9位と低迷したスティーラーズだが、第7節終了時点の星数は3勝4敗から4勝3敗に変わった。日和佐は昨季との違いを「練習中の危機感、ピリッとした雰囲気がある」と口にし、こう続けた。「そして去年より確実に走れる。ラスト20分になっても走り負けない」。敵将のピーター・ヒューワットHCが「腕相撲ような試合」と評したタフでタイトなゲームをモノにし、上位進出を窺う。

 

(文・写真/杉浦泰介)