サッカー・WEリーグ・第8節、浦和レッズレディース(2位)対INAC神戸レオネッサ(1位)の一戦が3日、駒場スタジアムで行なわれ、1対1のドローに終わった。前半5分、日本女子代表(なでしこジャパン)MF北川ひかるの右CKからDF竹重杏歌理が押し込みI神戸が先制したものの、12分に同じくMF清家貴子が振り向きざまのシュートを決めて浦和Lが追いついた。

 

 直接対決はドロー(駒場)

浦和L 1-1 I神戸

【得点】

[神] 竹重杏歌理(5分)

[浦] 清家貴子(12分)

 

 なでしこジャパンで最終ラインを支えるDF高橋はなが、ボランチのMF栗島朱里に代わってピッチに立ったのは後半10分だった。

 

 高橋はフィジカルコンタクトに長けたプレーヤーだ。ユース時代は主にFWでプレーしていた。U-19日本代表選出時から本格的にセンターバックへとコンバートされた。先月28日、パリ五輪アジア最終予選・対北朝鮮代表戦では、貴重な先制点を決め、五輪出場決定に大きく貢献するなど、勝負強さも合わせ持つ。

 

 高橋がピッチ内に入り、走っていったのは相手ゴール方向だった。センターバックではなくFWとして投入された。30分には右サイドからのクロスに頭で飛び込んだが惜しくも届かなかった。守備では前線からプレスをかけて相手から自由を奪っていた。

 

 試合後、FW起用について高橋は、こう語った。

「監督には“前で準備しているので”と事あるごとに言っていました。チーム状況で与えられたポジションでプレーするのが選手として大事ですが、隠れて(FW起用の)準備はしていました」

 

 さらに高橋は「元FWと言われるのはあまり好きではない」と答え続けた。

「代表でも一緒で、今日対戦したFW田中美南選手はターンやキープがすごく上手。“このタイミングでターンできるのか”とFWとして気づきがいきるときもあれば、DFとしてプレーしているときは“あ、ここでターンされる可能性がある”とわかることもあります。トップレベルの選手とプレーするからこそ、自分自身の勉強になっています」

 

 チームを率いる楠瀬直木監督は、高橋の起用について聞かれると、「高橋から“いつかはFWをやらせてくれ”と直談判はあった。迫力はあるので今後も両刀で考えています」と述べた。

 

「チームが勝つことが一番大事。自分自身のポジションや結果も大事ですけど、チームが勝つとために自分がやるべきことに集中する」と高橋。フィジカルコンタクトに長けたこの24歳がプレーの幅を広げれば浦和Lとなでしこジャパンにとっても大きなピースになるのではないか。

 

(文/大木雄貴)