当サイト人気コラム「国境なきフットボール」執筆者の田崎健太氏の新刊『横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか』(カンゼン)が4/9に発売されます。

 

 本著はノンフィクションライターの田崎氏が、4年を超える歳月をかけ、横浜はもちろん、千葉、静岡、大阪、淡路島、三重、山口、福岡、そしてブラジルへと足を運び、取材し、執筆されたそうです。

 

 振り返るとフリューゲルス消滅の伏線となった「全日空SCボイコット事件」のことも色濃く描かれています。

 

 全日本空輸でフリューゲルスの後ろ盾役を担っていた人物の人事、後々にキーマンとなる関連事業部長の助言と決断、「タクシーチケット」に象徴されてしまったクラブ経営陣の緩み、2度目のボイコットも起こりえたかもしれない過去――。これらが生々しく書かれています。

 

 この本を読むと、当時のフリューゲルスに対するイメージが変わる方々も少なくないと思います。<フリューゲルスは日本で最も歴史を持つ横浜サッカーの正統な継承者であり、最初に本物のクラブチームとなる可能性を持っていたのだ>(本書より)

 

 フリューゲルスの素晴らしさと欠点が、時に優しく柔らかく、特に切れ味鋭く田崎氏独自の筆致で表現されています。

 

 視点を変えると、本書に書かれていることは、耳が痛いと感じる人もいるかもしれません。しかし、このようなことは二度と起こってはならない、という著者の思いを感じます。この一冊は日本スポーツ界に向けた田崎氏の辛くも愛のある一冊です。皆様もぜひ、手に取ってください。

 

 

横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか

◆プロローグ

 

◆第1章

最初の「汚点」――全日空SCボイコット事件

1964-1986

 

◆第2章

日本リーグの“アウトサイダー”から「オリジナル10」へ

1987-1992

 

◆第3章

ブラジル人トリオ獲得の「裏側」

1993-1994

 

◆第4章

「家族的」なクラブの限界

1995-1997

 

◆第5章

緩みの象徴「タクシーチケット」

1997-1998

 

◆第6章

「ボイコットだけは阻止しなければならない」

1998

 

◆第7章

怒りと悲しみを心の底に埋めた男たち

1999

 

◆あとがき

 

(カンゼン/定価:2700円+税/田崎健太著)