予想どおりと言えば予想どおりだが、セ・リーグでは阪神と中日の2強の力が抜きん出ている。
 5月13日現在、阪神が24勝12敗1分けで首位、中日が21勝14敗3分けで2位。以下、東京ヤクルト、巨人、広島、横浜と続くが、3位以下はいずれも勝率5割を切っている。“2強4弱”の様相だ。

「結局は投手力だよ。阪神と中日は先発も中継ぎも抑えも安定している。競ったゲームはほとんどモノにするからな」
 ネット裏では、よくそんな声を耳にする。
 確かに両球団の投手力の充実ぶりには目を見張るものがある。阪神の防御率が2.78であるのに対し、中日で2.51。セ・リーグでチーム防御率が2点台をキープしているのは、この両球団だけだ。

 しかし、強さの理由はそれだけではない。これは隠れた数字だが、四死球が阪神と中日は群を抜いて多いのだ。
 試合数に差はあるが現時点でトップは阪神の119、2位が中日の113。選球眼がよく、打者に「つなごう」という意識が強いことの表われだ。

 ちなみに四死球の上位ベスト5は1位が赤星憲広(神)の24、2位が金本知憲(神)の23、3位が井端弘和(中)と森野将彦(中)の20、5位がタイロン・ウッズ(中)の19と、両球団の主力選手がズラリと並ぶ。打線に粘りが感じられるのは、そのためだ。

 実はセ・リーグで最もチーム打率のいい球団は最下位の横浜(2割6分7厘)である。これだけの好打率を残しながら最下位に沈んでいるのは、投手力が弱過ぎるのに加え、打線に粘りがないからだ。
 38年ぶりの日本一を果たした98年は「マシンガン打線」と呼ばれるほど、打線につながりがあった。今昔の感がある。

 5位の広島もチーム打率は2割6分2厘(3位)と、そこそこながら四死球は69でリーグ最低。

 ここを改善することが上位進出の前提条件となる。

<この原稿は2008年6月2日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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