新人王最有力候補と言っていいだろう。『NTTジャパン ラグビー リーグワン2023-24』は第14節終了時点でプレーオフ進出4チーム(埼玉パナソニックワイルドナイツ、東芝ブレイブルーパス東京、東京サントリーサンゴリアス、横浜キヤノンイーグルス)は確定した。サンゴリアスのSO髙本幹也は14試合全てで「10」を背負い、ここまでリーグ3位の146得点をマークしている。

 

“アグレッシブ・アタッキングラグビー”を標榜するサンゴリアス。髙本はSOとして、アタックをリードしてきた。
「めちゃくちゃ難しいが、自分たちのラグビーや自分の強みが出た試合は楽しいし、それを出すために毎日練習にしています。難しさと楽しさの両方感じている」

 チームは10勝1分け3敗と3位に付けている。

 

 帝京大学の全国大学選手権2連覇に貢献した司令塔として昨季アーリーエントリーで途中加入。しかし公式戦の出場機会はなかった。

「昨年も僕自身は試合に出るつもりで毎日練習していました。“1年目だから出られない”というマインドでは練習していなかった」

 この経験を糧に今季の飛躍に繋げたのだろう。

 

 選手を知るためにフィールド内外でのコミュニケーションは重要だ。髙本同様に今季プレータイムを伸ばしたCTBイザヤ・プニヴァイはこう証言する。

「とてもコミュニケーションがうまい選手。そしてラグビーの全体像を掴むことに長けていると思います。自分のやりたいことを明確に伝えてくれる。日本人、外国人にかかわらず、言葉の壁があっても、彼がどのプレーをどうやってほしいのか、クリアに理解できる。フィールド外でもとても面白い選手です」

 

 全てはチームが勝つために――。己に課すノルマは高い。20−24で敗れたワイルドナイツ戦では「4点差は10番の差」とキック成功率100%にも限らず自らに厳しかった。対戦相手のSOはジャパンでも10番を付ける松田力也。時代は被っていないが帝京大の先輩にあたる。「松田さんはピンチでも余裕があった。今日は差があったけど、追い越して、僕が日本代表の10番を着られるように頑張ります」。視線は高く向いている。

 

(文・写真/杉浦泰介)