アジア最大級の格闘技団体『ONE Championship』(ONE)が5月4日にタイ・ルンピニースタジアムで開催した「ONE Fight Night 22」に出場したキックボクシング世界バンタム級元王者の秋元皓貴(あきもと・ひろき)が試合から2日後、オンライン取材に応じた。

 

 秋元とK-1ライト級元王者のウェイ・ルイ(中国)との一戦が物議を醸している。ONEのチャトリ・̪シットヨートンCEOは「秋元が勝ったと思った」とコメント。国内外のファンからも判定への不満の声が上がっているという。試合は秋元がアグレッシブに攻めるも、互いに決定打を奪えぬままゴングを聞いた。判定結果はジャッジ3者がウェイ・ルイを支持(2者が29-28、1者が30-29)。秋元は率直な思いを述べた。

「自分が勝ったと思っていたが、選手は外からの見え方が違うことがある。“(自分の感触とは)違ったのかな”と思い、納得しようかと考えましたが、みんなから意見や自分が試合の映像を見直しても、自分は負けてなかったと思う。ただこの5カ月間、新しい拠点でトレーニングして楽しかったし、刺激的だった。試合自体もウェイ・ルイがいい選手でいい試合ができ、判定以外は自分の中では満足しています」

 

 第1ラウンドについては「正直、自分の中では捨てていました」と言い、出足を振り返った。

「行きすぎては良くないという考えがあって、捨てていたんです。1ラウンドは取られるかもしれないけれど、2、3ラウンドで畳みかけるというイメージでした。試合をしている時もこれでいいと思っていました。ただ、映像を見たら自分が思っていた以上に行っていた。もっと抑えめだと思っていましたが、行ってる方だったのかなという感想です」

 

 しかし、ジャッジ3者は9-10でウェイ・ルイの優勢と見た。ただ、このラウンドに関しては秋元の手応えは「五分」。マスト判定のためどちらかに優劣を付けないとならないため、秋元もこのラウンドに相手が優勢だったことに大きな不満はないという。

 

 第2ラウンドは「1ラウンドでウェイ・ルイの攻撃にも慣れてきていた。しっかり攻めて行こうと。自分の思ったように攻撃をして行けたと映像を見ても思いました。トレーニングキャンプでやってきたことが出せなかった攻撃もあったのですが、内容的には良かった」と口にしたようにアグレッシブに攻めた。このラウンドはジャッジ2者が秋元の10-9とした(1者は9-10)。

 

 問題は第3ラウンドだ。「(このラウンドも)引き続き、プレッシャーをかけていきました」と前へ圧力をかける。「1~3ラウンドを思い通りに戦えた。自分の感覚では2、3ラウンドを取っていた」と思い通りに戦えていたという。自身の手応えでは「29-28で勝っていた」が、ジャッジ3者全員が秋元に9、ウェイ・ルイに10を付けた。

 

 

 判定に関して、秋元陣営としては異議申し立てを検討中だという。チャトリCEOは「再戦を組む」という趣旨の発言をしており、秋に開催予定の日本大会でも噂される。

「日本大会でリマッチが組まれれば、この試合を見てくださった方が盛り上がると思うし、準備期間もある。今回以上のいい試合をして勝ちたいと思います」

 

 完封勝ちを目指した秋元だが、自身の出来については「完封できたとは思っていないが、試合をコントロールすることはでき、やりたいこともできたと思います」と語り、10点満点で「7、8点」を付けた。

「倒す練習をしてきたし、倒したかった。再戦になれば自分は完封することを第一に置いていますが、“次は倒しにいかないといけない”と思っています。ただ、格闘技はルールがあり、判定基準があったの中で戦っている。そこを抜きにして、ただ倒しに行く練習だけをするのは自分の考えに反します。そこは今まで通り試合をコントロールする、完封する。そのプラスアルファで倒すことも加えていかないといけない」 

 

 

(文/杉浦泰介、写真/©ONE Championship)

 

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