前期は残り数試合となり、各地区の優勝争いもいよいよ大詰めを迎えています。上信越地区では現在、我が新潟アルビレックスBCと群馬ダイヤモンドペガサスとの激しい優勝争いが繰り広げられています。新潟は6月28日の石川ミリオンスターズ戦、7月4日の群馬ダイヤモンドペガサス戦、5日の福井ミラクルエレファンツ戦と今季初の3連敗を喫し、群馬に首位の座を明け渡してしまいました。しかし、6日の福井戦に8−1と快勝。群馬が富山サンダーバーズに負けたため、再び首位に立ちました。とはいえ、群馬とのゲーム差は7日現在でわずか1.0。まさにこれからが正念場です。
 新潟は残り4試合。そのうちの2試合が群馬との直接対決です。群馬とは5月末以降、ずっと首位争いを演じてきました。7日現在、新潟17勝11敗4分、群馬は17勝13敗2分。互いの対戦成績も新潟の4勝3敗とほぼ互角と言っていいでしょう。
 最後に勝つのはどちらか――それは「絶対に優勝するんだ!」という勝利への執念が強い方だと私は思っています。

 新潟は昨季、18勝52敗2分で最下位という成績に終わりました。だからこそ、2年目の選手たちには「昨年の屈辱を晴らしたい」という気持ちが強くあります。1年目の選手たちにも、それは十分伝わっているはずです。それこそが今季、好調の要因となっているのです。その強い気持ちを最後まで切らさずに持ち続けることができるかどうか。優勝へのカギはその点にかかっています。

 また、投手陣が安定していることも今季は大きいですね。昨季、最下位だったチーム防御率は、今季は6球団中トップの数字をマークしています。なかでも最年長投手の藤井了(田辺高−法政大−米独立リーグ−オランダ独立リーグ)は7勝2敗とチーム一の勝ち星を挙げています。藤井は最速151キロのストレートのほか、変化球も豊富でもともとリーグトップの実力をもっている投手です。昨季もチームの勝利数18のうち、約半分の8勝を挙げました。しかし、敗戦も11とチーム一だったのです。

 では、昨季とどう変わったのでしょうか。正直、昨季の藤井がどんなピッチングをしていたのかはわかりません。しかし、一つ言えることは、今季の藤井は常に冷静でいることができています。おそらく、本間忠コーチからもいろいろとアドバイスをもらっているのでしょう。ピンチの場面でも、全くイライラしている様子を見せません。これがその後の冷静なピッチングにつながっているのです。

 藤井を始めとする投手陣の好投を支えているのが、女房役の上ノ下健(鹿児島実高−鹿児島国際大−香川オリーブガイナーズ−鹿児島ナインスターズ)です。上ノ下は私が香川の監督時代に指導した選手でもあります。1年目は76試合に出場しましたが、2年目は強肩強打を誇る堂上隼人(現香川)にレギュラーの座を奪われてしまいました。

 しかし、それでも上ノ下が腐ることはありませんでした。試合に出ていなくても、相手ベンチやバッターを観察し、常に何かを吸収しようとしていました。その観察力が現在の好リードに結びついていることは言うまでもありません。

 さて、泣いても笑っても、前期は残りあと4試合です。優勝目指して、 チーム全員が“がむしゃらに”なって頑張りたいと思います。暑い日が続きますが、ファンの皆さんもどうぞ熱い声援をよろしくお願いします!
 

芦沢真矢(あしざわ・しんや)プロフィール>:新潟アルビレックスBC監督
1958年1月1日、山梨県出身。巨摩高校時代は4番・捕手として初の甲子園に出場。76年、ドラフト5位でヤクルトに入団し、貴重な控え捕手として活躍。88年に現役引退後はヤクルトでブルペン捕手、広島でコーチを務めた。2005年、四国アイランドリーグの香川オリーブガイナーズ初代監督に就任し、2年目の06年には優勝に導く。昨年は北信越BCリーグの石川ミリオンスターズで運営を部長を務め、今季より新潟の監督に就任した。
◎バックナンバーはこちらから