ロサンゼルス・ドジャースの黒田博樹は8日、本拠地でのアトランタ・ブレーブス戦に先発した。黒田は7回まで1人の走者も出さないパーフェクトピッチングを展開。8回に惜しくも初ヒットを許したが、以降も完璧にブレーブス打線を封じ、1安打無四球の内容で完封勝利を収めた。完封勝ちは今季2度目。メジャーリーグ移籍後、初の連勝で5勝目(6敗)をマークした。
 日本人メジャーリーガー初の快挙は目前だった。この日の黒田は直球、変化球ともに制球がよく、初回から凡打の山を築く。ドジャースは5回にノーマー・ガルシアパーラの2ランで2点を先行。6回までスコアボードにゼロをきれいに並べ、スタジアムの空気が徐々に変わり始めた。

 迎えた7回、ブレーブスの先頭打者グレゴール・ブランコは三塁線にセーフティバントを試みる。サードのブレーク・デウィットがこれを素早く拾って、一塁は間一髪アウト。黒田を救う好プレーに、ドジャースでは史上2人目の大記録の期待は一気に高まった。

 快挙まであと6人で迎えた8回、先頭は4番のマーク・テシェイラだった。カウント2−2の5球目は内角やや高めに入った。これをテシェイラが引っ張ると打球はライト線へ。二塁打となり、パーフェクトゲームは幻と消えた。

 しかし、黒田は後続を落ち着いて3人で片付けると、最終回も簡単に2死を奪う。最後の打者もショートゴロにしとめ、ゲームセット。黒田は力強いガッツポーズをみせた。許した走者はわずかに1人。球数もわずかに91球の準完全試合だった。

 これで黒田は右肩腱炎による戦列離脱から復帰後、16イニング連続無失点。故障者リスト入りで登板間隔が空いたことが“ケガの功名”となったか。ドジャースは勝率5割を割りながら、ダイヤモンドバックスと激しい地区首位争いを繰り広げている。鳴り物入りで入団した日本人右腕の本領発揮は、後半戦に向けて明るい材料となるはずだ。