アテネ五輪で金メダル獲得した男子ハンマー投げの室伏広治、女子マラソンの野口みずきなど、北京五輪でも、日本チームの複数のメダル獲得&入賞の期待がかかる陸上競技。北京五輪で代表選手たちが着用するオフィシャルユニフォームが6月30日、川崎市内のホテルにて発表された。
「日本を応援」というコンセプトのもと制作されたユニフォームは、昨夏、大阪で行われた世界選手権と同様に赤と白の「日の丸カラー」を継承。「日本の代表として誇りを持って世界と戦ってもらいたい」という製作者たちの思いが込められている。


(写真:北京五輪陸上競技日本代表選手が着用するオフィシャルユニフォーム)
「ナショナルチームというイメージを強く持つデザイン、さらに北京という猛暑の環境に適応した材質で作ってほしい」(日本陸連・高野進強化委員長)
 この要望を受けてミズノが制作したユニフォームは、赤と白を基調とした日の丸カラーが目を引く。ミズノが公式ユニフォームを手掛けるようになった2001年から、武士の『勝ち色』を示すネイビーと白が基調となっていたが、昨年の大阪を機に、日本全体で代表を応援する気持ちが高まるようにと、日の丸にこだわったカラーへと変更された。
「選手たちからも『ほかの国のユニフォームは国旗のカラーなのに、どうして日本はネイビー×白なのか』という声は出ていました」
ミズノ株式会社アスレティック事業部マーケティング部ゲームウェア企画課課長の中島雅利さんはこう語る。
 肩口のレッドグラデーションには力強さが表現され、胸の「JAPAN」のロゴには武士の勝ち色のネイビーが配色されるなど、デザインにもこだわったつくりとなっている。

 猛暑が予想される北京で選手たちへの負担を軽減するため、昨夏、大阪で開催された世界選手権で採用したものを基調に、レーシングウエア、Tシャツの背面を全面メッシュにすることで通気性を高めたという。
 また、ショートとロングの2タイプが用意されたタイツは、ミズノ独自のウエア設計方法である「ヴァーチャルボディデザイン」によるもの。中島さんは次のように語る。
「男子短距離の末続慎吾らの動きからデータを取り、コンピューター上で皮膚の伸縮を検証して、ここは伸びる素材、ここは普通の素材、とパターンと素材開発をしてきました。適材適所の素材配置により、でん部の突っ張りを10%軽減し、心地良さ、動きやすさを追求しています」
 この日、会見に出席した代表選手たちからも「通気性が良い」「軽くて動きやすい」「長い競技時間であってもストレスなく過ごせそう」と好評だ。
 レーシングシャツ、パンツをはじめ、男女合わせて合計16アイテムが用意されている。
「選手によってはタイツと半そでTシャツを好む者もいる。トラック種目では好みによって普通のランシャツタイプと伸縮性のあるツーウエイのタイプから選べるようになっています」と中島さん。競技特性や、個々の好みによって希望のスタイルを選択できるのは、選手にとっては嬉しい配慮だ。
 中島さんは続ける。
「選手たちが着用した姿を見ると、手前みそではありますが、やはり颯爽としてかっこいいなと思いますね。僕らは、表舞台ではなく裏方の人間。選手たちが競技に集中できるように、ウエア自体のストレスをなくすこと、ウエアに気を使わなくて良い環境を整えることが僕らの仕事だと思います。『ミズノのユニフォームを着たら安心してレースに臨める』というウエアづくりに尽力にしてきたし、これからも続けていきたいですね」
 選手たちが、世界で戦うために不可欠なユニフォーム。そこには製作者たちの熱い思いも込められている。
 8月8日に開幕する北京五輪。陸上競技は、15日から24日に行われる。


 ミズノ3選手が会見、北京五輪への抱負語る

 陸上の北京五輪代表に決まったミズノ所属の3選手が30日、記者会見を行い、五輪への意気込みを語った。
 シドニー、アテネに続く3度目の五輪出場となる男子短距離の末續慎吾は「子どもの頃からの夢が3回も叶った。その試合で、自分がどれだけ楽しめるか。いつもと違う気持ちで臨めると思う」と語る。日本選手権の男子200メートル決勝では後半に失速し3位に終わったが、「日本選手権21秒16の僕が、五輪へ向けてどう変わっていけるか。気持ちは前向き」と明るい表情で話した。
 男子110メートル障害の内藤真人は、「アテネ五輪のとき、劉翔(中国)が優勝した決勝レースを見て、あの決勝の舞台に立てたら、と思った。まずは本番で日本新を出して、夢の決勝進出を目指したい。世界の壁は厚いが、何とか打破したい」と力強く語った。
 日本選手権で為末大(APF)に敗れたものの、初の五輪切符を手にした男子400メートル障害の成迫健児は「(日本選手権で)負けた悔しさがずっと残っている。要因は根本的な弱さ。トレーニングの流れよりも、気持ちを切り替えることだと思っている。(負けた)悔しさを五輪本番に向けていきたい」と意気込んだ。
(写真:左から、男子400メートル障害の成迫、同110メートル障害の内藤、同短距離の末續)


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 ミズノでは、財団法人日本陸上競技連盟とのオフィシャルサプライヤー契約に基づき、8月8日から行われる「第29回 オリンピック競技大会(中華人民共和国・北京)」で日本選手団が着用するユニフォームを製作しました。
 昨年の「世界選手権」と同様に日の丸カラーを継承し、日本の代表として誇りを持って世界と戦ってもらいたいという期待を込めたデザインとなっています。
 またミズノでは、財団法人日本陸上競技連盟公認の「日本選手応援グッズ」も昨年に引き続き製作し、販売中です。日本代表を勝ち取った選手達を応援し、少しでも力になることを願って「日本を応援」のコンセプトのもと用意しました。
 なおオフィシャルユニフォームのレプリカは7月10日から全国のミズノ品取扱店で発売します。

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(このコーナーでは北京五輪に向けたミズノの取り組みと、子どもたちへの普及、育成活動を随時レポートします)
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