埼玉ワイルドナイツ、3季連続のファイナルへ ~リーグワン~
18日、「NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 プレーオフトーナメント」(PO)準決勝が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、リーグ戦1位の埼玉パナソニックワイルドナイツが、同4位の横浜キヤノンイーグルスを20-17で下した。ワイルドナイツは26日の決勝(国立競技場)に進出し、19日の準決勝(東芝ブレイブルーパス東京vs.東京サントリーサンゴリアス@秩父宮ラグビー場)の勝者と対戦する。イーグルスは同敗者と25日、秩父宮ラグビー場で3位決定戦を行う。
2季連続の対決となったワイルドナイツとイーグルス。昨季はワイルドナイツが51-20と差を付けて勝利し、今季レギュラーシーズンの対戦2試合もワイルドナイツに軍配が上がった。公式戦では2013年9月7日を最後にイーグルスは勝っていない。前評判ではレギュラーシーズン16戦全勝のワイルドナイツ。イーグルスはアップセットに燃えていた。
しかし先制パンチを見舞ったのはワイルドナイツだった。前半3分、SO松田力也の混戦からスルリと抜け出して敵陣深くに侵入。最後は右大外で待つWTB竹山晃暉が一瞬内に入り、ボールを受けた。WTB竹澤正祥をかわし、インゴール右隅に飛び込んだ。TMO(ビデオ判定)でのチェックが入ったものの、トライは認められた。「ファーストタッチでトライを取ると決めていた」と竹山。価値ある先制点(5点)をもらたした。
対するイーグルスも反撃。敵陣でFLシオネ・ハラシリがジャッカルして得たPGをSO田村優が着実に決めて2点差に詰める。沢木敬介監督が「パナソニックのディフェンスを崩すには彼の力が必要」と先発起用したトンガ出身の24歳が期待に応えた。
それでもワイルドナイツはLOジャック・コーネルセンのトライで突き放す。27分には松田のPGが決まり、前半は13-3でリードして終えた。ところが4分にライアアウトモールからFLシオネ・ハラシリにトライを奪われた。SO田村優のコンバージョンキックが決まり、3点差に詰めれられた。13分には竹澤のトライで逆転を許した。残り25分で再逆転を狙う。
この日はプレースキックを2本外した松田だが、ランで魅せた。「自分の前が空いた。ああいうかたちになるなと、準備をしていた」。20分、敵陣でインゴール目前に迫るビッグゲイン。チャンスをつくると最後はCTBダミアン・デアレンデが飛び込んだ。松田がコンバージョンキックを成功し、20-17と再びリードを奪った。
イーグルスの反撃に耐えたワイルドナイツ。3点差で逃げ切り、3季連続のファイナル進出を決めた。敗れたイーグルスは沢木監督が「今季のベストゲーム。持てる力を出せた」と称える戦いぶりで、ワイルドナイツを苦しめた。「勝負どころを分かっているワイルドナイツの方がひとつ上手でした」。キャプテンのCTB梶村祐介も「現状の力を出し切った。僕らの課題がこの3点に詰まっている」と総括した。
ワイルナイツのキャプテンでHO坂手淳史が「プレーオフトーナメントは1点差でも2点差でもとにかく勝てば次に進める。そこを目標にしてきたので、結果については満足しています。すごくしんどい、タフなゲームでしたが、そこを取り切れたことだけを評価し、また成長して次へ向かえるというのが一番ですね」と語れば、竹山も「3点差でも1点差でも勝ちは勝ち。トーナメントはそこが重要。次に繋がって良かったと思います」と話した。
ワイルドナイツの勝負強さが際立った。「我慢比べなら、絶対僕たちの方が強いという自信を持っている」と松田。ロビー・ディーンズ監督も「相手のいい戦術、プレッシャーに対し、うまく抜け道を見つけ出せた」と選手たちを称えた。逆転されても動じない。後半6分に投入されたHO堀江翔太は「やるべきことをやっていけば、結果は返ってくると思っていた」と淡々と言う。司令塔の松田は「もう一度自分たちのプレーにフォーカスして、やり切ろうと。そうすれば絶対道は拓けると思っていた」と口にする。
ゴールまでの道筋は見失わない――。リーグ戦は16連勝でフィニッシュ。プレーオフも無敗のまま駆け抜けるのか。
(文・写真/杉浦泰介)