パッキャオvs.鈴木千裕 パッキャオ「ボクシング学ばせる」鈴木「MMAを学んでもらう」 ~RIZIN~

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 10日、格闘技団体『RIZIN』が都内ホテルで会見を行い、前日に電撃発表となった『超RIZIN.3』(7月28日、さいたまスーパーアリーナ)で対戦するボクシング世界6階級制覇のマニー・パッキャオ(フィリピン)と、RIZINフェザー級&KNOCK OUT BLACKスーパーライト級王者の鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)が出席し、試合への想いを語った。

 

 ついにマニー・パッキャオが日本で戦う。ボクシングでWBC世界フライ級を皮切りに、IBF世界スーパーバンタム級、WBC世界スーパーフェザー級、WBC世界ライト級、WBA&WBO世界ウェルター級、WBC世界スーパーウェルター級と6階級を制覇した超が付くほどのビッグネームだ。2021年9月に2度目の現役引退をしたとはいえ、昨年9月にも非公式戦を戦っている。また今年の秋以降にボクシング復帰戦を行う噂もある。

 

 RIZINの榊原信行COOは、会見の冒頭にパッキャオをこう紹介した。

「ボクシングという競技で世界中の人たちに名前と顔を知られているアスリート。それがマニー・パッキャオだと思っています。彼を肉眼で戦う姿を観た人は少ない。日本のファンは彼の活躍を海の向こうでは知っているけど、目の当たりにしたことがないレジェンドの1人。フロイド・メイウェザー(・ジュニア)に続き、アジアの英雄マニー・パッキャオをRIZINのリングに上げたいという思いがようやく成就します。非公式の試合になるので、3分3ラウンドで戦う。マニーからは『エキシビションという言葉は使うな』と強く言われています。『これはザ・ファイトだ』と。本気のど突き合いを観て欲しい」

 

 2019年4月、『RIZIN.15』(神奈川・横浜アリーナ)で、リングに上がったパッキャオ。榊原COOは「その時からマニーとの親交があり、いつの日のタイミングでRIZINのリングで戦って欲しいと思っていました。何度もマニーと食事をしたり、いろいろなコミュニケーションを取ってきました」と振り返る。

「誰とやるのかはいろいろな話があった。僕は未来の格闘家。(那須川)天心がそうでした。現役時代に拳を交える。真剣勝負をして未来を変えていける逸材にチャンスを与えたいと思っていた。なかなかマニーの相手にピンとくる選手が見つからなかった」

 

 そこで現れたのが二刀流(キックボクシングとMMA)の鈴木だ。昨年7月の『超RIZIN.2』で、Bellatorフェザー級王者のパトリシオ・ピットブル(ブラジル)に1ラウンドKO勝ち。その4カ月後にはアゼルバイジャン・バクーでの『RIZIN LANDMARK 7』で、RIZINフェザー級王者ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)を1ラウンドKOで破り、RIZINフェザー級のベルトを巻いた。いずれも鈴木不利の下馬評を得意の打撃でひっくり返した。「破天荒な活躍の中で、千裕ならワンチャンス。バンといってドーンとやって、スーパースターをKOする可能性がある。そこに期待感を持てると思い、このカードを実現するに至りました」と榊原COOは語る。

 

 実はボクサーとして日本のリングには既に上がっている。1998年5月、東京・後楽園ホールで寺尾新(当時・八王子中屋)と対戦している。「1998年の試合は1Rで終わらせた(TKO勝ち)。ミッションとしても同じ。3ラウンドと設定されていますが、それよりも早く終わらせるために全力でやりたい。改めて言いたいことは、これはエキシビションでない。お互いがノックアウトを目指して戦い抜く。絶対に見逃さない方がいい」とパッキャオ。鈴木千裕に対しての印象は「MMAの試合なので観たことがない」と語り、「私はボクシングを知っている。パンチとフットワークが全て。それさえ知っていれば相手のことを知る必要はない」とコメント。「ボクシングというものはそんなに簡単に習得できるものではない。7月28日に必ず彼はボクシングについて学ぶことになる。自分が学ばせる」と言い切った。

 

 一方の鈴木は「とにかく勝たなきゃダメじゃないですか。僕はKNOCK OUTとRIZINを背負っている。絶対勝ちます」と強い意気込みを口にする。今回のオファーにも「答えは即答、1秒もかかんないっすよ。イエス、やります。それ以外ないじゃないですか。断る理由がない」と二つ返事でOKしたという。
「パッキャオにボクサーのパンチは当たらない。だけど、僕はボクサーじゃない。MMAファイターのパンチは当てることができる。僕はパッキャオ選手からボクシングを学ばせてもらいますが、僕はパッキャオ選手にMMAを学ばせます」

 

 ルールはボクシングに準じたRIZINスタンディングバウト。グローブは8オンスだ。蹴り技、投げ技、極め技は当然、ヒジ打ちも禁止される。現役時代、名うてのボクサーたちを食い続けてきた“パックマン”。この世界的スターは、鈴木が世界に名を売る格好の相手でもある。7月28日、さいたまで目撃されるのはアジアの英雄が強さを証明するのか、稲妻ボーイが世界中に衝撃を与えるのか――。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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