チーム再建へのカギは“3本の矢” 〜伊予銀行女子ソフトボール部〜
伊予銀行女子ソフトボール部は日本女子ソフトボールリーグ2部リーグの前半戦で8勝1敗という好成績を残した。その余勢を駆って6月30日、7月7日に行なわれた全日本総合女子選手権(9月19日〜21日)の予選では圧倒的な力を見せつけて第1代表権を獲得した。だが、国体四国予選では初戦敗退を喫し、5年間守り続けてきた四国代表の座を獲得することができなかった。果たして敗因はどこにあったのか。
9月5日から再開するリーグ戦に向けて現在のチーム状態や課題、そしてリーグ優勝へのキーポイントを大國香奈子監督に訊いた。
「全日本総合選手権予選はリーグ戦の勢いのまま、自分たちの試合をすることができました。しかし、国体の予選では思うような試合運びをすることができなかった。それが最大の敗因だと思います」と大國監督は振り返った。
6月に行なわれた国体県予選を勝ち抜き、伊予銀行は愛媛代表として四国予選に臨んだ。初戦の相手は高知。大國監督は先発に今季初めて高本ひとみ投手を立てた。勝てば、同日のうちに決勝があった。そのため、リーグ戦から好調だった清水美聡投手は決勝にと考え、高本投手を先発にまわしたのだ。とはいえ、高本投手は今季、リリーフとしてしっかりと役割を果たしていた。その実績を買われての初先発だった。だが、これが裏目に出てしまった。
「初めて対戦する相手で、あまりデータがなかったのですが、手元にある情報を頼りにバッテリーには配球に対して指示を出しました。リーグ戦と同じようなことだったのですが、自分の調子の良し悪しではなく、各バッターの特徴を踏まえたうえで配球を考えるということです。
しかし、いざ試合になると、それができませんでした。今考えると、高本は今季先発は初めて。これまでは相手が崩れた状態や勢いが失われた状態でスイッチしていたため、それほどバッターに気を使わなくても自分のスタイルで抑えることができたのでしょう」と大國監督。監督自身、投手起用の難しさを改めて感じた試合となったようだ。
途中、高本投手から清水投手へと継投を試みたが、結局試合は2−4で敗れ、伊予銀行は国体の出場権を逃した。
さらに伊予銀行はもう一つ、全日本実業団女子選手権大会にも出場した。順当に決勝戦に進んだ伊予銀行は優勝を賭けて同じ2部リーグの三島中央病院と対戦した。前半戦の第2戦で戦った時には伊予銀行が10−2で圧勝している相手だ。
この時も伊予銀行が1−0とリードしていた。ところが、4回終了時で雷雨のために中断、ノーゲームとなり、試合は翌日に順延されてしまった。翌日は予定通り再試合で行われたが、伊予銀行は完封負けを喫し、準優勝に終わった。
「雨で流れた前日の試合では、周りからは5回降雨コールドで、うちのチームが勝つのではと言われていました。ところが、結局4回までに1点しか取ることができなかったんです。そのため、逆に悪いイメージのまま翌日の試合に入ってしまいました」(大國監督)
うまく切り替えられないまま試合に臨んだ選手たちには、明らかに焦りが見られていたという。リーグ戦では積極的に振っていく中で狙い球を絞っていくことができたが、この日のバッティングは違った。いいボールを打とうという気持ちが強すぎて待ちの姿勢に入り、最後は追い込まれた状態で振らざるをえなくなったのだ。
前半戦が好調だっただけに、チームには国体予選、全日本実業団で受けたショックは少なからずあるだろう。しかし、リーグ戦の再開はもうすぐだ。後ろを振り向いている余裕はない。果たして最大の目標であるリーグ優勝に向けて、チームの立て直しはどのように図られるのか。
「国体も全日本実業団も、普段のリーグ戦では使用しない白ボールでした。白ボールと黄色ボールでは、打球の飛び方、回転の仕方が違います。ですから、選手たちが白ボールに対応仕切れなかったということも敗因の一つでした。
しかし、リーグ戦になれば自分たちが使い慣れている黄色ボールに戻るわけですから、投手にとっても投げやすくなるし、打者にとっても打ちやすくなります。選手たちには『黄色ボールに戻るのだから、気持ちを切り替えて自信をもってやりなさい』と言ってあります。
前半戦は余計なことを考えずに、ひたすら1戦1戦を大事に戦ってきた。その結果が8勝1敗という好成績につながったのです。後半戦も同じように戦っていきたいと思っています」と大國監督。選手一人ひとりが気持ちを新たに試合に臨むことが重要なようだ。
なかでも、キーマンとなるのがキャプテンの川野真代選手と副キャプテンの矢野輝美、中田麻樹の両選手の3人だと大國監督は言う。打順も中田選手が1番、矢野選手が5番、川野選手が7番と上、中、下軸それぞれの核となっている。“三本の矢”のごとく、3人が結束することによって、チームは確固たる強さを築いていくことができるのだ。
後半戦は2度のダブルヘッダーなど厳しい戦いが続く。伊予銀行の3年ぶりとなる1部昇格への戦いはこれからが本番だ。
9月5日から再開するリーグ戦に向けて現在のチーム状態や課題、そしてリーグ優勝へのキーポイントを大國香奈子監督に訊いた。
「全日本総合選手権予選はリーグ戦の勢いのまま、自分たちの試合をすることができました。しかし、国体の予選では思うような試合運びをすることができなかった。それが最大の敗因だと思います」と大國監督は振り返った。
6月に行なわれた国体県予選を勝ち抜き、伊予銀行は愛媛代表として四国予選に臨んだ。初戦の相手は高知。大國監督は先発に今季初めて高本ひとみ投手を立てた。勝てば、同日のうちに決勝があった。そのため、リーグ戦から好調だった清水美聡投手は決勝にと考え、高本投手を先発にまわしたのだ。とはいえ、高本投手は今季、リリーフとしてしっかりと役割を果たしていた。その実績を買われての初先発だった。だが、これが裏目に出てしまった。
「初めて対戦する相手で、あまりデータがなかったのですが、手元にある情報を頼りにバッテリーには配球に対して指示を出しました。リーグ戦と同じようなことだったのですが、自分の調子の良し悪しではなく、各バッターの特徴を踏まえたうえで配球を考えるということです。
しかし、いざ試合になると、それができませんでした。今考えると、高本は今季先発は初めて。これまでは相手が崩れた状態や勢いが失われた状態でスイッチしていたため、それほどバッターに気を使わなくても自分のスタイルで抑えることができたのでしょう」と大國監督。監督自身、投手起用の難しさを改めて感じた試合となったようだ。
途中、高本投手から清水投手へと継投を試みたが、結局試合は2−4で敗れ、伊予銀行は国体の出場権を逃した。
さらに伊予銀行はもう一つ、全日本実業団女子選手権大会にも出場した。順当に決勝戦に進んだ伊予銀行は優勝を賭けて同じ2部リーグの三島中央病院と対戦した。前半戦の第2戦で戦った時には伊予銀行が10−2で圧勝している相手だ。
この時も伊予銀行が1−0とリードしていた。ところが、4回終了時で雷雨のために中断、ノーゲームとなり、試合は翌日に順延されてしまった。翌日は予定通り再試合で行われたが、伊予銀行は完封負けを喫し、準優勝に終わった。
「雨で流れた前日の試合では、周りからは5回降雨コールドで、うちのチームが勝つのではと言われていました。ところが、結局4回までに1点しか取ることができなかったんです。そのため、逆に悪いイメージのまま翌日の試合に入ってしまいました」(大國監督)
うまく切り替えられないまま試合に臨んだ選手たちには、明らかに焦りが見られていたという。リーグ戦では積極的に振っていく中で狙い球を絞っていくことができたが、この日のバッティングは違った。いいボールを打とうという気持ちが強すぎて待ちの姿勢に入り、最後は追い込まれた状態で振らざるをえなくなったのだ。
前半戦が好調だっただけに、チームには国体予選、全日本実業団で受けたショックは少なからずあるだろう。しかし、リーグ戦の再開はもうすぐだ。後ろを振り向いている余裕はない。果たして最大の目標であるリーグ優勝に向けて、チームの立て直しはどのように図られるのか。
「国体も全日本実業団も、普段のリーグ戦では使用しない白ボールでした。白ボールと黄色ボールでは、打球の飛び方、回転の仕方が違います。ですから、選手たちが白ボールに対応仕切れなかったということも敗因の一つでした。
しかし、リーグ戦になれば自分たちが使い慣れている黄色ボールに戻るわけですから、投手にとっても投げやすくなるし、打者にとっても打ちやすくなります。選手たちには『黄色ボールに戻るのだから、気持ちを切り替えて自信をもってやりなさい』と言ってあります。
前半戦は余計なことを考えずに、ひたすら1戦1戦を大事に戦ってきた。その結果が8勝1敗という好成績につながったのです。後半戦も同じように戦っていきたいと思っています」と大國監督。選手一人ひとりが気持ちを新たに試合に臨むことが重要なようだ。
なかでも、キーマンとなるのがキャプテンの川野真代選手と副キャプテンの矢野輝美、中田麻樹の両選手の3人だと大國監督は言う。打順も中田選手が1番、矢野選手が5番、川野選手が7番と上、中、下軸それぞれの核となっている。“三本の矢”のごとく、3人が結束することによって、チームは確固たる強さを築いていくことができるのだ。
後半戦は2度のダブルヘッダーなど厳しい戦いが続く。伊予銀行の3年ぶりとなる1部昇格への戦いはこれからが本番だ。