萩本監督のマイクパフォーマンスが続く中、試合が始まりました。
 ホームチームということで我がチームは後攻です。
(写真:茨城GGさんと記念撮影)
 1回表、先頭打者にセンター前ヒットを打たれるも、後続を抑えて無失点としました。 ゴールデンゴールズは、4番に元巨人の福井選手、6番に元楽天の酒井選手がいる強打線。クラブチームでは見られない体の大きさに圧倒されながらも、何とか抑えきりました。
 試合が動いたのは2回裏でした。仙田の2塁打のあと、森、田中の連続安打で1点を先制すると、6回までに2点を追加し、3対0とリードしました。

 試合状況に関係なく、萩本監督と放送席との掛け合いが続きます。
 「ヒット打ったからなんか景品出してあげて」
 「では、先ほどヒットを打ちましたゴールデンゴールズの岩田選手には、景品として、JA上尾より、梨1個を差し上げます」
 「1個じゃ少ないよ!」
 「じゃあ、あと1個」
 「変わんないよ!」

 1塁側ベースコーチのあたりで観客席の方にほとんど顔を向けながら笑いを誘っていた萩本監督ですが、6回無得点に焦りを感じたのか、グラウンドの方に向き直ると、こんなことを言いました。
 「どうしたの? このまま負けちゃうんじゃないの? がんばってよ、ゴールデンゴールズ……」

 7回から我がチームはピッチャーを2番手の矢筒に交代しました。我がチームの右のエースです。
 しかし、ここで思わぬアクシデントが起きました。

 2球目に痛烈なファーストゴロを打たれましたが、ファーストの森が捕球し、1塁ベースへトスをしようとしました。一瞬ベースカバーの判断が遅れた矢筒が、何とか間に合わせようと、必死にファーストへ走ります。矢筒とランナーが同時にファーストベースを踏んだと思った瞬間、ランナーと交錯しながらファウルゾーン側に矢筒が倒れこみました。
 捻挫をしてしまい、そのまま退場となってしまいました。

 その後の3番手、4番手が9点を取られてしまい、1点を返しましたが、追いつけませんでした。

 どんな大切な試合でも、ガラガラのスタンドで野球をしている私たちにとっては、4000人を超える観客の目は、「やばい」と自然と口を突いて出てしまうほどの緊張でした。マイクパフォーマンスでグラウンドでの選手同士の声も聞こえづらく、ベンチからの声もなかなか届きません。でもその中で、大きな声を出し合い、絶対に勝つという気持ちを持ってクラブチャンピオンに挑めたと思っています。

 後日、ネットサーフィンをしていると、この試合を見に来てくださっていた方のブログを発見しました。

 「7回に逆転されましたが、守備についても内外野から、そしてベンチからも大変声がでていて良いチームに見えました。(中略)試合前は欽ちゃん見たくて、ゴールデンゴールズというチームを見たくて行きましたが、試合を見ていると途中から全国大会優勝チームに勝つ、一泡吹かせてやるという意気込みが感じられる地元チームを応援している私がいました」

 頑張って本当によかったと思いました。
 試合に参加させていただかなかったら、こんな嬉しい言葉を聞くこともなかったと思います。
 このような機会をくださった上尾市さん、対戦してくださったゴールデンゴールズさんに感謝し、この経験を糧にこれからも頑張っていきたいと思います。



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広瀬明佳
福島県郡山市出身。母がソフトボール、兄が野球をやっていたことから中学・高校時代ソフトボール部に所属。大学時代軟式野球サークル。前職での仕事をきっかけに初めて硬式野球の道へ。現在、埼玉県内の硬式野球クラブチームに所属。チームの紅一点として奮闘中!

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