日本シリーズ終了直後に行なわれるアジアシリーズは、どことなく“付け足し”のイメージがある。メディアの扱いもWBCや日本シリーズに比べれば、格段に小さい。日本、韓国、台湾、中国のチャンピオンが集まり、アジアナンバーワンのチームを決める大会であるにもかかわらず……。

 なぜ盛り上がりに欠けるのか。その理由は開催地が日本の東京ドームに固定されているからだろう。この大会は今回で4回目だったが、東京ドーム以外で開催されたことは一度もない。

 国際試合の醍醐味はホーム&アウェーである。それがかなわないのなら、せめて4カ国が持ち回り制で開催すべきだ。毎回、日本で開催され、日本の国内王者がアジア王者になることに違和感を抱いている野球ファンは少なくないのではないか。
 長い目で見れば、国内開催よりもホーム&アウェーや持ち回りの方が、日本の野球界にとってもプラスになる。惨敗を喫した北京五輪では審判のストライクゾーンや国際球に戸惑うシーンが見受けられた。国際試合に対する経験不足が随所で露呈した。
 北京から帰国後、日本代表・星野仙一監督は表情をゆがめてこう語った。
「ほかの世界でやっている感じだった」

 日本のプロ野球界が今取り組むべきは、海外での国際試合を増やすことである。狭い島国だけでやっていたのでは、いつまでたっても経験値は積みあがってこない。もっとアウェーの洗礼を受けることだ。
 さらに言えばアジアシリーズを真のアジア王者を決める権威ある大会に育てるためにも、アジア球界の盟主である日本自らが外に出て行く必要がある。要するに日本には野球の伝道師的な役割が求められているのだ。アジアに野球の種をまくことで、将来的に日本が手にする果実は少なくないのだから。

<この原稿は2008年11月29日号『週刊ダイヤモンド』に掲載されたものです>

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