20歳の新鋭・岡慎之助、団体に続き2冠! ~パリ五輪・体操男子個人総合~
パリ五輪大会8日目、体操の男子個人総合決勝が日本時間1日に行われ、岡慎之助(徳洲会)が86.832点で金メダルを獲得した。2位にチャン・ボーヘンが0.233点差、3位にはシャオ・ルーテンが0.468点差と中国勢が銀銅メダル。連覇を狙った橋本大輝(セントラルスポーツ)はあん馬の失敗が響き、84.598点で6位だった。
世界最高のオールラウンダーを決める大舞台。表彰台の頂点に立ったのは20歳の新鋭だった。予選を3位で通過した岡は同2位の橋本らと同組で回った。
第1ローテーションの床運動(ゆか)、第2ローテーションのあん馬で14点台をマークし、トップに立った。メダル争いが予想された中国勢はチャン・ボーヘンがゆかで。橋本があん馬でミスし出遅れた。第3ローテーションのつり輪でも安定した演技を続ける岡。折り返し地点に立ってもトップを守った。
第4ローテーションの跳馬でドリッグスを選択。着地も難なく決めて出来栄え点9点台の高得点をマークし、14.300点を積み上げた。しかし橋本と中国勢はドリッグスより難易度の高いロペスを選んだ。いずれも14点台後半を稼ぎ、岡に迫る。全体では3位と順位を落としたが、第5ローテーションの平行棒で再び首位に立つ。
ラストは鉄棒。 第5ローテーションは終了時点で、岡の72.322点に対し、0.324点差の2位にシャオ・ルーテン、0.356点差の3位にチャン・ボーヘンが付けている。平行棒でもミスのあった橋本は2点以上離され、連覇が厳しくなった。日本勢の連覇(12年ロンドン大会&16年リオデジャネイロ大会=内村航平、21年東京大会=橋本)は20歳に託された。
まずは暫定2位のシャオ・ルーティンが伸身トカチェフからスタートし、開脚トカチェフ、屈伸トカチェフで加点を狙う。着地も完璧に決め、東京五輪の個人総合銀メダリストは岡にプレッシャーをかけてきた。14.366点を加え、86.364点で暫定トップ。橋本を挟み、その次の出番が岡だった。
この重圧の場面でも岡は揺るがなかった。日本伝統の美しい演技を披露する。最後の着地は少し動いたが、それでも14.500点でトップに。あとはチャン・ボーヘンの演技を待つのみ。この時点で岡の銀メダル以上が確定した。メダルの色が決まるチャン・ボーヘンの演技。中国のエースは安定感のある演技を見せていたが、途中技の繋ぎで乱れた。それでも最後は完璧な着地を見せ、岡を上回る14.633点。それでも総合点で岡が逃げ切った。
「練習の成果が金メダルに繋がってうれしいです」。20歳の新王者誕生した瞬間だった。
(文/杉浦泰介)