早田ひな、エースの意地で銅 ~パリ五輪・卓球女子シングルス~

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 パリ五輪大会11日目が現地時間3日に行われ、卓球の女子シングルス3位決定戦で早田ひな(日本生命)がシン・ユビン(韓国)に4対2で勝ち、銅メダルを獲得した。日本勢同種目のメダル獲得は伊藤美誠(2021年東京大会銅)に続き2人目。決勝は東京大会金のチェン・ムンが同銀のスン・インシャとの中国対決を制した。

「神様にこんなタイミングで意地悪されるとは思わなくて」
 試合後、早田が語った「意地悪」とは、痛々しく巻かれたテーピングの箇所、左腕を指している。準々決勝で痛め、準決勝では棄権も考えたほどだったというが、世界ランキング1位のスン・インシャに挑み、ストレートで敗れた。
 
「一昨日の試合(準々決勝)で腕を痛めてしまい、昨日はそのギャップで自分の現実を受け入れられないままプレーした。今日も練習の時は同じような感じだったけど、ドクターに注射をしてもらったら、もしかしたら行けるかも……という状態に戻って来たので、自分を信じて戦うしかなかった」
 
 迎えた3位決定戦はシン・ユビンに第1ゲームを取られたものの強烈なフォアを軸に第2ゲームから3連取して逆転した。第5ゲームは競り負けて迎えた第6ゲーム。最後は早田のサーブをシン・ユビンが返しきれず、早田の銅メダル獲得が決まった。
 
 床にしゃがみ込んで喜びを噛みしめる早田。東京五輪は日本代表選考会に敗れ、リザーブだった。サポート役に回り、同年代の伊藤、平野美宇が活躍し、メダルを掛ける姿を近くで見ていた。その後の活躍は目覚ましかった。
 
 世界選手権団体戦ではエースとして牽引。日本代表選考レースもあたまひとつ、ふたつも抜け出してパリ行きの切符を手にした。パリで訪れた苦難を乗り越え、勝ち取った銅。狙っていた色ではなかったかもしれないが、「金より価値のある銅」と胸を張った。
 
(文/杉浦泰介)
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