五頭寛大(東京グレートベアーズ/愛媛県松山市出身)第1回「“プロ2年生”の大学生リベロ」

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 バレーボールにおけるリベロとは、その語源にあたる『自由』とは異なる向きがある。前衛でのプレーが制限され、アタックも許されない。守備専門のスペシャリストポジションだ。その特異なポジションで“プロ2年生”を迎える大学生が、東京グレートベアーズ(東京GB)の五頭寛大(ごとう・かんだい)である。

 

(©TOKYO GREAT BEARS)

 この秋スタートするバレーボール新リーグの『大同生命SV.LEAGUE』(SVリーグ)に属する東京GBは、東京都渋谷区をホームタウンとするクラブだ。過去V.LEAGUE(1部がSVリーグに発展。残りのクラブが2部相当)では、大学4年生が内定選手として卒業前にチームに加入することはある。だが彼の場合は“飛び級”だ。

 

 また加入のきっかけは実に現代風である。昨年夏、東京GBがSNSでリベロを対象とした「トライアウト」なるものを開催することを知ったのだ。いずれはプロにと考えていた五頭とはいえ、まだびわこ成蹊スポーツ大学の3年だった。大学のバレーボール部監督・竹川智樹に相談すると、「先生からは『受けるだけ受けてみろ!』と背中を押していただきました」という。

 

 一方の東京GB側はチーム編成上、ロスターにリベロがもう1枚欲しい、という思惑があった。トライアウト開催自体、クラブ初の試みだった。

 

 1次審査はプレー動画、履歴書を送っての、いわゆる書類選考だ。それを通過した者は、2次審査。実技審査と面接を経て合否が決まる。実技選考は練習に参加するのみだった。練習後、カスパー・ヴオリネン監督らコーチ陣とミーティングをした。五頭の感触としては「力の差を見せつけられた。あまり手応えはありませんでした」というが、監督のヴオリネンからは「ひと目見た時に、彼は可能性とスキルに溢れたプレーヤーで、東京グレートベアーズで必ず活躍してくれると思いました」と太鼓判を押され、トライアウトは晴れて合格となった。

 

引けを取らない守備力

 

 結果、クラブ初の現役大学生(大学4年生の内定選手を除く)の加入となったわけだが、「うれしかったのですが、ユニホームにもまだ袖を通していなかったので実感がなかったのが正直なところです」と、五頭はプロ入りが決まった瞬間のことを振り返る。

 

(©JVL)

 彼の持ち味はレシーブ力。バレーボールを始めた小学校時代からレシーブが好きだった。「レセプション(サーブレシーブ)が自分の中で得意。そこをどんどん磨いていきたい」と語っている。

 

 その点は東京GBのコーチを務める橘裕也も「彼の長所はサーブレシーブとディフェンス。チームメイトで同じポジションの古賀太一郎選手と比べてサーブレシーブはまだ劣るが、伸び代があります。ことディフェンスに関しては引けを取らないと思います」と高く評価している。

 

 チームメイトの意見はこうだ。在籍は同期、学年でひとつ上のアウトサイドヒッター後藤陸翔は「サーブレシーブ、トスの能力も高い。昨シーズンは僕が後衛にまわったときに代わりにコートインし、守備を任せられていたので安心してサイドアウトに繋げられる」と信頼を寄せる。後藤が言うように五頭のトスが巧いのは、彼のバレーボールキャリアに起因するのだろう。本人も「セッター経験があるので、セット(トス)は自信がある。そこも強みしていきたい」と自負している。

 

 21歳の若きリベロが、バレーボールをはじめたきっかけとは――。

 

(第2回につづく)

 

(©TOKYO GREAT BEARS)

五頭寛大(ごとう・かんだい)プロフィール>

2003年1月25日、愛媛県松山市出身。ポジションはリベロ。小学2年時に潮見スポーツ少年団で本格的にバレーボールを始める。同少年団、雄新中学で全国大会出場を経験。バレーボールの強豪・東山高校を経て、21年にびわこ成蹊スポーツ大学に入学した。大学3年時にV.LEAGUE(当時)のディビジョン1の東京グレートベアーズに入団。1季目から36試合中23試合に出場した。身長180cm。最高到達点310cm、指高230cm。右利き。背番号28。

 

(文/杉浦泰介)

 

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