岡慎之助、平行棒銅&鉄棒金! 今大会3冠含む4個目のメダル ~パリ五輪・体操種目別~
パリ五輪大会13日目、体操競技種目別決勝最終日が現地時間4日に行われた。鉄棒決勝は岡慎之助(徳州会)が14.533点で金メダルに輝いた。銀メダルのアンヘル・バラハス(コロンビア)も同じ14.533点だったが、Eスコア(出来栄え点)で上回った岡が上位となった。岡は団体、個人総合に続き今大会3冠を達成した。また平行棒決勝にも出場し、15.300点で銅メダルを獲得した。同種目の金メダルはゾウ・ジンユアン(中国)。岡とは0.9点差だった。
5日前に個人総合で胸に金メダルを飾った20歳の新鋭が、 またしても快挙達成だ。 この日行われた種目別決勝は平行棒と鉄棒に出場。 平行棒で銅メダルを獲得すると、 鉄棒では表彰台の頂点に立って見せた。 日本勢の五輪での3冠は1972年のミュンヘン大会で(団体、 個人総合、平行棒)の加藤澤男以来。“キング” と呼ばれた内村航平も為し得なかった偉業である。
予選5位で通過した岡は、8人中2番目の試技だった。 コールマンを皮切りに次々と離れ技を成功させていく。 ミスをしない美しい体操は日本の伝統であり、岡の特長でもある。 フィニッシュの後方伸身2回宙返り2回ひねりの着地もビタッと決 めた。得点は15.300点。 残り6人を残していたが暫定トップに立った。
予選5位で通過した岡は、8人中2番目の試技だった。
続くバラハスは大きなミスなく15.300点で並ぶ。 しかしDスコア(難易度点)では、バラハスの方が0.700 点も高い演技構成だった。つまりEスコアでは岡が0.700点上回る。 規定により同点の場合はEスコアを優先するため、 岡のトップは動かなかった。
ここから鉄棒会場が荒れに荒れる。4番手のマリオス・ヨルギウ(キプロス) から杉野正尭(徳洲会)、チャン・ボーヘン、ティン・スルビッチ(クロアチア)、スー・ウェイデ(中国) がことごとく鉄棒から演技中の落下や着地に失敗する。 そのせいもあってか岡も試合後のインタビューでは「これで獲っちゃっていいのかな……」と複雑な心境を明かした。
それでも誇るべき金メダルだ。 ミスのない美しい体操を貫いたからこその戴冠。 世界一のオールラウンダーになった20歳はパリで王道への一歩を踏み出した。
(文/杉浦泰介)