第294回 31連勝中のムエタイ王者・吉成名高がペットアヌワットとWBCダイヤモンド王座をかけて激突! 9・1横浜『BOM47』─

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 ムエタイ3階級制覇王者で31連勝中と勢いに乗る吉成名高(エイワスポーツジム)の次戦が決定している。

 9月1日(日)神奈川・横浜大さん橋ホール『BOM47』、対戦相手はペットアヌワット・ノーアヌワットジム(タイ)。早くも今年5戦目となるが、吉成は如何なるファイトで魅せてくれるのか?

 日本人として、いやタイ人以外で初めてムエタイのチャンピオンベルトを腰に巻いたのは“伝説のキックボクサー”藤原敏男(目白)。いまからもう45年以上も前のことである。1978年3月8日、東京・後楽園ホールでモンサワン・ルークチェンマイ(タイ)を4ラウンドKOで破りラジャダムナン・ライト級王座に就いた。

 あれから長き空白期間を経て、2000年以降に藤原に続く日本人ムエタイ王者が9人誕生している。

 

▶小笠原仁(伊原)、ラジャダムナン・ジュニアミドル級<2000年12月3日獲得>

▶武田幸三(治政館)、ラジャダムナン・ウェルター級<2001年1月21日獲得>

▶石井宏樹(目黒藤本)、ラジャダムナン・スーパーライト級<2011年10月2日獲得>

▶T-98(クロスポイント吉祥寺)、ラジャダムナン・スーパーウェルター級<2016年6月1日獲得>

▶梅野源治(PHOENIX)、ラジャダムナン・ライト級<2016年10月23日獲得>

▶吉成名高(エイワスポーツジム)、ラジャダムナン・ミニフライ級<2018年12月9日獲得>/ルンピニー同級<2019年4月14日獲得>/ラジャダムナン・フライ級<2023年7月9日獲得>/ラジャダムナン・スーパーフライ級<2024年2月12日獲得>

▶奥脇竜哉(エイワスポーツジム)、ラジャダムナン・ミニフライ級<2019年9月9日獲得>

▶石毛慎也(LAILAPS東京北星)、ラジャダムナン・ミドル級<2019年11月28日獲得>

▶松田龍聖(大原道場)、ラジャダムナン・バンタム級<2024年7月14日獲得>

 

 この中で日本人ムエタイ王者「パウンド・フォー・パウンド最強」を決めるのであれば、間違いなく名高だろう。タイ人以外でのラジャダムナン3階級制覇は前人未踏の大記録だ。

 

ムエタイの醍醐味を存分に味わえる

 現在23歳の名高が、ムエタイを始めたのは小学3年生の時。5年生になると本場タイに渡り修行、アマチュアで好成績を残し「天才ムエタイ少年」と呼ばれた。

 2018年12月にハーキュリ・ペッシーム(タイ)を破りラジャダムナン・ミニフライ級王座を獲得。翌19年4月にはシンダム・カフェフォーガ(タイ)に勝利しルンピニースタジアム同級のベルトも腰に巻き、両スタジアム統一チャンピオンとなった。

 

 その後、BOM、RIZIN、あるいはタイのリングなどで試合を重ね、2023年7月にはウェウワー・ウォークリンパトゥム(タイ)を下しラジャダムナン・フライ級王者となり2階級制覇。さらに今年2月にはプレーオプラーオ・ペップラオファー(タイ)にも完勝しラジャダムナン・スーパーフライ級も制している。

 7月14日には『RWS(ラジャダムナンワールドシリーズ)』でジョムホート・コースワンタット(タイ)にフルマークの判定勝利、ラジャダムナン・スーパーフライ級王座初防衛を果たしたばかりだ。

 そんな吉成に「9・1横浜」で挑むのはペットアヌワット・ノーアヌワットジム(タイ)。

 元ラジャダムナン・ライトフライ級王者で、吉成が今年2月に闘ったプレーオプラーオにも勝利している強豪、首相撲からのヒザ蹴りを得意とする。スタミナ十分でラウンド支配に長けるテクニシャンだ。

 充実期にある吉成が優位と見る向きが圧倒的だが、ペースの掴み方を間違えると思わぬ苦戦を強いられるかもしれない。ムエタイの醍醐味を存分に味合わせてくれる闘いになりそうだ。また今回の試合は、吉成が保持するラジャダムナン・スーパーフライ級王座の防衛戦ではなく「WBCムエタイ・ダイヤモンドベルト」をかけての闘いになる。

 

 同大会のセミファイナルでは、元ラジャダムナン・ミニフライ級王者の奥脇竜哉とシヴァラート・ウォーリンティダー(タイ)が対峙。この試合はWBCムエタイ世界フライ級王座決定戦として行われるが、その先にラジャダムナン・フライ級王座奪取を見据える奥脇にとっては絶対に負けられない闘いとなる。

 

 なお『BOM47』の模様は「U-NEXT」で生配信。熱きムエタイファイトを見逃すな!

 

 

<直近の注目格闘技イベント>

▶8月17日(土)、東京・後楽園ホール/「SHOOT BOXING 2024 act.4」海人vs.ドラゴミール・ペトロフほか

▶8月18日(日)、東京・後楽園ホール/「Krush.164」スーパーウェルター級王座決定トーナメント決勝戦、小田尋久vs.璃久ほか

▶8月31日(土)、東京・後楽園ホール/「RISE 181」バンタム級タイトルマッチ、大﨑孔稀vs.大森隆之介ほか

▶8月31日(土)、東京・お台場青海R区画/「DEEPサマーフェスティバル」長谷川賢vs.SAINTほか

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)プロフィール>

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)

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