浦安DR、レイドロー新HCでD1に挑む 〜リーグワン〜
28日、JAPAN RUGBY LEAGUE ONE(リーグワン)の浦安D-Rocks(浦安DR)がグレイグ・レイドロー新HC就任記者会見を千葉・シネマイクスピアリで行った。
映画館での会見ということもあってか主役はポップコーンとドリンクを持って登場した。スクリーンの前に設けられたステージにレイドロー新HC、鈴木啓太ジョシュア通訳、内山浩文ゼネラルディレクターの3人が上がった。イクスピアリが浦安DRとパートナーシップを結ぶオリエンタルランドが運営する商業施設ということで、この“浦安D-Rocks劇場”が実現したと言えよう。
いわば“舞台挨拶”にスーツ姿で現れた主役レイドロー新HCは、スコットランド代表76キャップの世界的なSHである。2015年イングランド大会、19年日本大会でもジャパンを苦しめてきた司令塔は、19-20シーズンにNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(浦安DRの前身)に加わった。現役引退後、昨季はアシスタントコーチ(AC)を務め、チームのD1昇格に貢献した。
加入時はGM職だった内山ゼネラルディレクターに「こうなることは予想していましたか?」と聞くと、首を横に振った。
「全く想像していませんでした。今日も本人と笑い話をしましたが、『4年前に空港に迎えに行った時は、まさかG(レイドローHCの愛称)がHCになって、一緒に会見するなんて思ってもみなかったよ』と」
では、なぜレイドローHCなのか。内山ゼネラルディレクターはスクリーンに資料を映し出しながら、今季の強化テーマと、チーム強化に必要な三原則を説明した。強化、普及、キャリア支援。内山ゼネラルディレクターは「この三原則をドライブかけたいと考えた時に彼がピッタリはまった」と言う。
チームは21-22シーズンでD2に降格。1年での即返り咲きを狙ったが、22-23シーズンはD2を圧倒しながら入れ替え戦でD1最下位の花園近鉄ライナーズ(花園L)に2連敗した。今年5月、花園Lとの入れ替え戦に臨み、リベンジを果たした。
「ヨハン(・アッカーマン前HC)が決して悪いわけではない。昨季(23-24シーズン)の入れ替え戦の時、あの雰囲気がメチャクチャ良かった。実はコーチングの構成も少し途中で変えていて、ヨハンの下にレイドローと栗原(徹コーチングコーディネーター)さんを付けたのが非常に良かった」(内山ゼネラルディレクター)
アッカーマン前HCはチームアドバイザーとして残り、栗原コーチングコーディネーターが新HCを支える。ACは新たに昨季限りで現役引退したジャパン12キャップの浅原拓真氏、昨季まで横浜キヤノンイーグルスのACを務めていた遠藤哲氏、ニュージーランド代表8キャップを持ち、シャイニングアークスのOBでもあるロス・アイザック氏が就く。
レイドローHCは晴れ晴れとした表情で抱負を述べた。
「HCに任命していただき、大変光栄に思う。コーチとしてチームを率いることが楽しみ。D-Rocksとしてディビジョン1で戦えることにワクワクしています。自分は若いコーチでエネルギーもたくさんある。チームが困難な状況になっても、いろいろな方々のサポートをもらいながら強豪と戦っていくことを楽しみにしています」
キャプテンは引き続き、SH飯沼蓮が務める。現役時代から指揮官が高く評価する若き司令塔。キャプテン任命の理由をレイドローHCはこう説明した。
「昨季は蓮のキャプテンシーの下でいい成功を収めることができた。良かったところは続けるという方針で、いいリーダーシップを取ってほしいとの気持ちから彼を選びました。これからの蓮のリーダーとしての成長の旅路をサポートできればいい。彼の昨季のパフォーマンスはこのリーダーに値する」
飯沼は「グレイグとHCとキャプテンと関係でチームをつくっていくことを楽しみに思っています」と話し、こう意気込む。
「チームフィロソフィーである『繋ぐ』『コネクト』するところを意識して、プレーヤー、コーチ、ファンの皆様と強くコネクトして、より高いスタンダード、より良いカルチャーをつくって、過去最高のチームを目指していきたいと思います。今季の目標はトップ6です。簡単な目標ではありませんが、チャレンジャーらしく努力していきたい」
狙うはトップ6、すなわちプレーオフ圏内だ。新体制は8月中旬に始動している。 「選手たちが最大限に力を発揮し、成長できる環境をつくりたい」とレイドローHC。この新HCの働きぶりについて、内山ゼネラルディレクターは「選手たちが疑問や課題に思ったことを聞くと、即座に答えてくれる。『こうやるんだよ』って。そこが強みですね」と高く評価している。
浦安DRの名を冠してからは初のD1だ。9月から宮崎合宿を行い、12月スタートの新シーズンへの力を蓄える。“浦安D-Rocks劇場”の開演は3カ月後。その物語はトップ6へ向かうチームの旅路をファンと共に歩む。
(文・写真/杉浦泰介)