関東対抗戦&リーグ戦は9・7開幕 帝京大・相馬監督「目の前の1試合1試合。それ以外に大事なことはない」 ~大学ラグビー~

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 関東大学ラグビーフットボール協会が2日、東京・日本ラグビー協会で対抗戦Aグループ・リーグ戦1部開幕前共同会見を開催した。全16チームの指揮官・キャプテンが出席し、意気込みを語った。

 

(写真:対抗戦Aグループの各大学の主将。青木<手前右端>を含め4人が桐蔭学園高出身だ)

 対抗戦Aグループ&全国大学選手権3連覇中の帝京大学が今季も優勝争いの大本命となるだろう。主将のFL青木恵斗(4年)をはじめとして下級生の頃から出場を得ている選手は多く、戦力は充実している。相馬朋和監督は「日々練習から全力で取り組んで成長していく。シーズンを通してチームがどこまで行くのか。毎年そういうチャレンジだと思っています」と話した。監督就任3季目の指揮官は「僕は全然連覇を考えていない。目の前の1試合1試合。それ以外に大事なことはない」と自らの姿勢を崩さない。

 

 キーマンに、監督は主将の青木を指名する。「青木の豪快なプレーを見れば、ラグビーの魅力が伝わると思います」。桐蔭学園高校から入学し、1年時から主力としてチームに貢献してきた。最終学年を迎え、本人は「この3年間試合に出させてもらってきた。キャプテンですし、帝京として最後の1年。結果を残したい気持ちが強い。負けられない試合が始まり、すごく楽しみな気持ちが大きいです」と意気込む。

 

 今季のチームの印象を相馬監督は「毎年4年生は仲が良いものですが、今年は特に仲が良いように感じます。決まった人と一緒におらず、いろいろな組み合わせで行動するのを見ています」と話す。青木に聞くと「誰と関わっていても面白い。例えば練習や試合を終えて帰る時も誰とでも一緒に帰れる。ずっと仲が良いんです。その点はグラウンドでも出ていると思う。試合に出る出ないは関係なく、みんなで助け合っていると感じます」と答えた。

 

 8月の夏合宿では対抗戦のライバル早稲田大学に14-38で敗れた。相馬監督は「準備の質が下がっていたのかなと反省をしました。ワセダさんはひた向きで、素晴らしいパフォーマンスだった。あの試合から学ぶべきことはたくさんありました」と振り返る。戦いの秋を迎える王者。夏の反省を生かし、頂点への道のりをひとつひとつクリアしていく。

 

 対抗馬を挙げるなら夏合宿で帝京大を破った早大か。主将のHO佐藤健次(4年)をはじめ、ジャパンデビューを果たしたFB矢崎由高(2年)などを擁すタレント軍団。佐藤は「ディフェンスが去年に比べて良くなった思います。練習で費やす(ディフェンスの)時間も増やしましたし、全員の意識も上がりました」という。「日本A代表」にあたる「JAPAN XV」(ジャパンフィフティーン)としてマオリ・オールブラックス戦を経験。春先はチームを留守にすることもあったが、「ラグビーに対する向き合い方を学びました。準備の大切さ、オンオフの切り替え方」と言い、チームづくりにも落とし込んでいるという
「準備のところは、みんなから“うるさいな”と思われているかもしれませんが、めっちゃ言っています」


 青木と同じ桐蔭学園出身の主将である。慶應義塾大学の中山大暉(4年)、立教大学の伊藤光希(4年)も桐蔭学園の同期で、全国高等学校ラグビーフットボール大会(花園)を制したメンバーだ(主将は佐藤)。「こういうところで再開できるのはうれしい。桐蔭学園出身の選手がいる大学との試合は特に楽しみです」。その佐藤に「個人的な目標は?」と訊ねると「ないですね」と即答した。
「チームが勝てばいい。勝つために自分が活躍しなくてはいけないと思いますが、“自分が自分が”という気持ちより、勝つために何をしなくてはいけないかを考え、今はプレーできている。荒ぶる(大学日本一になった4年生のみが歌える部歌)に向けて一戦一戦大切にする。負けていい試合はない。全試合、相手をゼロに抑えて結果優勝できればいいんです」


 個人的な注目校は、対抗戦Aグループの筑波大学とリーグ1部の東洋大学だ。昨年度の筑波大は対抗戦Aグループ4位。大学選手権は準々決勝で明治大学に7-45で屈した。嶋﨑達也監督は「昨年のFWのレギュラーは8人中6人が4年生だった。一気にガラッと変わり、若返った」とチームの印象を述べた。「春は経験を積む機会だった」。春季大会はBグループに入り、4勝1敗の2位で終えた。秋に向け、指揮官は“筑波旋風”を起こすつもりだ。
「対抗戦を勝ち抜くこと自体が大学日本一に近付く大会。今の段階で帝京さんを含めて僕らが圧倒するなんて言えない。でもチャンスがないわけではない。この後、最高の日々を刻み、最高の状態で迎えられれば勝てないと思いません」

 

 花園で輝いたSH/SO井上達木(佐賀工業)、LO/No.8中森真翔(桐蔭学園)ら有望な1年生が入学してきた。多彩なキックを持つ司令塔の井上について注目度は高い。嶋﨑監督は「ポテンシャルが高い。今はSHに高橋佑太朗(3年)を使っていますが、井上も(試合登録の)23人には入ってくると思う。厳しい展開のところで経験を積ませていきたい」と育成方針を語ってくれた。ルーキーたちの成長は旋風を起こす上で不可欠と言えよう。


 東洋大は22年度に1部昇格し、3位で初の大学選手権出場を果たした。しかし昨年度はリーグ戦5位で大学選手権に進むことはできなかった。「特に大きく変えることはありません。3シーズン目もチャレンジャーであることには変わりがない。1戦必勝で毎試合全力でと感じています」と福永昇三監督。春からの「訓練に近い練習をして体力を付けて、選手たちは頑張って乗り越えてきた」(福永監督)。春季大会はグループBで3勝2敗。慶大と筑波大には敗れたが、同じリーグ1部の日本大学と大東文化大学には勝利した。


 主将はPR笠巻晴太(4年)。福永監督によれば「迷いなかった。経験が十分で、誠実なところがあり、真っすぐ取り組む姿勢は十分持っている。そのあたりを全面に出し、引っ張ってくれればいい」という。笠巻は「任された以上は自分のできることをコツコツやり続けるだけと思っています」と抱負を述べた。
「団結力は他のチームに負けない。相手がどうこうは関係なく、自分たちがどれだけできるか、自分の力をどれだけ出せるかに焦点を当てていきたい。淡々とやり続けていくだけだと思っています」


(文・写真/杉浦泰介)

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