上原浩治(オリオールズ)に続き、川上憲伸(ブレーブス)もメジャーリーグデビューを白星で飾った。
 二人ともコントロールがいいから大崩れしない。今後もローテーションの柱としての期待が持てる。

 一方、すっかり忘れられた存在になっているのがヤンキースのマイナーチームでプレーする元阪神の井川慶だ。
 井川がポスティング・システムを利用してヤンキースに移籍したのは06年のオフ。落札金30億円、年俸総額24億円(5年)の大型契約だった。
 だが制球難が災いし、メジャーリーグであげた勝ち星は、2年間でわずか2つ。防御率も6.66と散々だ。
 昨年7月にはメジャー契約を解除され、事実上の戦力外となった。それ以来、井川に関する記事を目にする機会はパタッと減った。

 本人の名誉のために言っておくが、それなりに頑張ってはいるのだ。昨季は3Aスクラントンで14勝(6敗)をあげ、3Aのベストナインにも選ばれた。
 選手層の厚いヤンキースでなければ、メジャーに復帰できていたかもしれない。入った球団が悪かったということだろう。まあ、それでも年俸は全額保証されるのだから、外から見ればうらやましい話ではある。

 余計なお世話かもしれないが、この際、古巣の阪神に復帰してはどうか。古巣は“エース不在”に頭を痛めている。ヤンキースとは2011年まで契約が残っているが、阪神が買い戻せばカタはつく。ヤンキースからもらった30億円の落札金の中から10億円程度捻出すれば、話は進むものと見られている。
 問題は井川の意思だ。マイナーリーグに落ちた今でも本人のメジャーリーグ志向はかわっていない。日本球界に復帰する気持ちは、これっぽっちもないようだ。
 だが投手には寿命がある。このままマイナーにくすぶらせておくのはもったいない。誰か首に鈴を付ける人はいないか。

<この原稿は『週刊大衆』09年5月4日号に掲載されたものです>

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